
薄膜の熱拡散率測定が可能となりました。
当機構では従来からレーザーフラッシュ熱拡散率測定装置,柴山式熱伝導率測定装置,熱線式熱伝導率測定装置などを使用し,熱拡散率や熱伝導率等の様々な熱物性測定を実施し,好評をいただいておりますが,さらに測定内容を充実させるために,今般薄膜専用の熱拡散率測定装置を設置いたしました。 これは従来の装置では測定不可能であった0.5mm以下の薄膜材料(電子部品の放熱シート等)にも充分対応できるようにというユーザーの皆様の強い要望にお応えできるようにしたものです。 以下に装置の詳細をご説明いたします。
■周期加熱法 熱拡散率測定装置
概 要
本装置は,高熱伝導材(銅,アルミニウム等)以外の高分子フィルム(厚さ7.5μm〜),セラミックの薄板,導電性試料やグリース等,従来は測定が困難であったフィルム試料における厚さ方向の熱拡散率を,室温から250℃までの任意の温度で測定することができます。測定は基本的に大気中で,試料に一定の荷重をかけて行います。
仕 様
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| 測定物性値 |
熱拡散率 |
| 測定対象物質 |
| ・高分子フィルム |
・ガラス |
| ・紙 |
・セラミック |
| ・グリース |
・導電性の薄板注1 |
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| 試料形状 |
| 厚さ |
7.5〜500μm注2 |
| サイズ |
(7〜10)×(10〜15) mm , 径10〜13 mm |
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| 測定範囲 |
1×10-8〜 2×10-5 m2s-1 |
| 温度範囲 |
室温〜常用250 ℃ (最高300 ℃) |
| 測定雰囲気 |
大気中,不活性ガス中 |
| 測定が不向きな試料 |
・厚さが均一でないもの
・表面に凹凸があるもの
・全体的に歪みのあるもの
・柔らかく,加重によってつぶれるもの |
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注 1・・・導電性の薄板は絶縁膜に挟んで測定し見かけの熱拡散率を求め,
それから補正計算によって試料単体の熱拡散率を算出します。 |
導電性試料の測定例
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| 試料名 |
測定値 m2s-1 |
文献値 m2s-1
(TPRCより) |
| ニッケル |
2.23×10-5 |
2.29×10-5 |
| タンタル |
2.41×10-5 |
2.47×10-5 |
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注 2・・・熱拡散率の大きさにより,厚さの適値は異なります。 |
全 景
ブロック図
試料系
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| 試料系の構成 |
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| 試料系の組立 |
測定原理
●厚さd の試料表面に押し当てた金属薄膜抵抗体(ヒーター)に交流電流を印加し,試料表面に交流のジュール熱(周波数f )を加えると,試料の厚さ方向に温度波が伝わります。
●試料裏面にも同様の金属薄膜抵抗体(センサー)を押し当て,試料内を伝播してきた温度波を,試料表面に加えた温度波に対する位相遅れΔθとして検出し,この位相遅れの周波数依存性から,試料の熱拡散率a を求めます。それらの関係は次式で示されます。
●周波数f を変えてΔθを測定することにより,Δθの に対する傾きkが として求められます。したがって熱拡散率は下記の式より算出されます。
再現性について
●試料表面に凹凸がないものに関しては,測定の再現性は±2%となります。(試料の表面状態が良くないものは,再現性もそれに応じて悪くなります。)
●導電性試料の場合,絶縁膜を用いることで絶縁膜を除いた試料単体の熱拡散率を求めることが可能です。この場合の再現性は,±5%,測定精度は±3〜8%になります。
周期加熱法熱拡散率測定装置による測定例
これまでレーザフラッシュ法では測定困難であった厚さ0.1mm程度のフィルム状試料の熱拡散率(測定方向:厚さ方向)を周期加熱法熱拡散率測定装置により測定を試みました。
またそれらの温度依存性を調べました。
試料(1) レトルトパウチ:厚さ115 m 材質 ポリプロピレン+アルミニウム
試料(2) 放熱シート :厚さ115 m 材質 グラファイト
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| 測定結果 |
放熱シートの熱拡散率はレトルトパウチのそれより30倍以上大きい。レトルトパウチ,放熱シートともに温度の上昇とともに熱拡散率の低下が認められました。また放熱シートの熱拡散率の温度依存性はレトルトパウチのそれより強いことがわかりました。
厚さ0.5mmの放熱シートをレーザフラッシュ法で測定したところ,熱拡散率は5.60×10-6m2/s (20℃)でほぼ一致しました。
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