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異物の分析

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異物の分析

分析例

食品製造ラインにおいて混入した異物の分析例を示します。

 異物をマイクロスコープにより拡大観察した結果、上下左右の長さが約2mmの薄茶色の脆い薄片状物質でした。
 異物の外観と性質から、樹脂を主成分とする物質の可能性が高いことから、まずはFT-IR分析を実施しました。

 

  • FT-IR分析

異物のFT-IRスペクトルを示します。

 IRスペクトルを解析した結果、異物の主成分はエポキシ樹脂であることが判明しました。エポキシ樹脂は塗料などに使用されます。塗料で用いられる顔料等の無機系添加剤の有無を調べるため、EPMA法による元素分析を実施しました。

 

  • EPMA法による元素定性分析

 異物のEPMAスペクトルを示します。EPMAでは元素周期表におけるホウ素(B)からウラン(U)の88元素を対象として分析するため、各元素に適した4つの分光結晶としてフッ化リチウム(LIF)、ペンタエリスリトール(PET)、ステアリン酸鉛(PBST)、フタル酸ルビジウム(RAP)が用いられています。

 樹脂由来の炭素(C)、酸素(O)の他に、少量のケイ素(Si)、チタン(Ti)、塩素(Cl)、微量のアルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、鉄(Fe)、カリウム(K)、銅(Cu)、ナトリウム(Na)、硫黄(S)が検出されました [*金(Au)は前処理に起因します]。
 Si、Caはそれぞれ、二酸化ケイ素、炭酸カルシウムなど、塗料の体質顔料として使用されることがあります。また、Ti、Feはそれぞれ、酸化チタン、酸化鉄が顔料として使用されることがあります。
これらの金属元素に由来する物質を調べるため、XRD法により分析を実施しました。

 

  • XRD法による結晶性化合物の定性分析

異物のX線回折パターンを示します。

 石英(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、炭酸カルシウム(CaCO3)に由来するパターンが検出されました(微小ピークのパターンも確認しています)。いずれも塗料の無機系添加剤として用いられる物質です。

 

  • 結論

 異物はエポキシ樹脂系の塗料片であることが判明しました。床・壁材が脆くなり砕けたものが、製造ラインに混入したと考えられます。