業務案内

  1. Home
  2. 業務案内
  3. 製品開発・原因調査
  4. 寿命評価

寿命評価

  1. 寿命評価

寿命評価

劣化と寿命とは?

 材料は、外観変化や機械的物性の低下などにより変質を生じます。このような変質は「劣化」と呼ばれ、製品機能の低下に直接的に関与します。製品は、劣化によって機能が低下し、最終的には動作不良や不具合を生じ、製品としての寿命に至ります。
 製造物責任法(PL法)の施行以来、確かな品質や信頼性がより求められています。製品及び製品が使用されるシステムの信頼性を確保するためには、材料又は製品の寿命を推定・把握することが不可欠です。

高分子の劣化基準を選定し、寿命の推定を行います。

・アレニウス法による寿命予測ができます。
  • 高分子材料の寿命予測法として一般的に用いられているものにアレニウス法が挙げられ、ISO、ASTMなどで採用されています。
  • アレニウス法は反応速度論から求められ、速度定数の対数が絶対温度の逆数に比例することに基づいて寿命を評価する手法です。
  • アレニウスプロットでは、数ある劣化現象の中から、劣化を定量化するための確実な指標(敏感で再現性の良いもの)を選ぶことが重要です。
  • 高分子材料の寿命予測においては劣化現象が単一の素反応として取り扱えるときに成立し、熱を劣化因子とした手法です。
◆アレニウス法による寿命評価◆
アレニウスの式:ある温度での化学反応の速度を予測する式

K:速度定数,A:頻度因子,R:ガス定数(1.987 kcal/mol・K)
T:絶対温度(K),E:活性化エネルギー(kcal/mol)
(1)式の両辺の自然対数をとると
特性値がx(寿命として設定する物性値)に変化するまでの時間 tx としたとき、速度定数Kは1/txに比例することから、(2)式は以下のように変形できます。
実験により活性化エネルギーを求め、(3)式を用いて計算することにより試料の寿命を予測できます。

 

例:引張試験における切断時伸び率が50%減少するまでの時間を予測する場合
 @実際の使用環境より高温の水準(3水準以上)で所定の時間熱老化処理を行い、切断時伸び率を測定します。
 A得られた結果から、各温度において切断時伸び率が50 %減少する時間 t50 を求めます。

図1 各温度での切断時伸び(EB)変化率と時間の関係 イメージ図

 B処理温度の逆数に対してln(1/ t50) の値をプロットし、得られた直線の傾きから活性化エネルギーを求めます。
 C求めた活性化エネルギーの値をもとに、実際の使用温度において切断時伸び率が50 %減少するまでの時間を算出します。

寿命を計算する物性値として、切断時伸び率のほか引張強さ等でも対応可能です。

 

注意点
  • 劣化因子が温度(熱)のみと想定して寿命を推定する方法のため、複合劣化には対応できません。
  • 処理時間が長期にわたる場合もございます。
試験をご依頼いただく際はお気軽にご相談ください。
・アイリング則による寿命予測ができます
  • アイリング則はアレニウス法をより一般化した式であり、温度以外のストレス(例:塩素濃度等)を劣化因子として寿命予測が可能で、温度が一定のときは速度定数の対数が塩素濃度等の対数に比例することに基づいて寿命を評価する手法です。