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データマイニング

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データ解析例

 

解析例(1)

 ここでは、下記の条件で動物試験(SDラット)を行った後、肝臓を摘出してマイクロアレイによる網羅的な遺伝子発現解析を行った解析例についてお示しします。なお、本データは本機構で独自に行っているトキシコゲノミクス研究の一環で取得したものです。

■実験条件
動物種 Crlj:CD (SD)ラット ラット 雄
投与 28日間反復投与
群構成 媒体対照群、投与群 (1群3匹)
臓器 肝臓
試験物質 2,4-Diaminotoluene(変異*発がん物質)、2,6-Diaminotoluene(変異*非発がん物質)
媒体 精製水
マイクロアレイ Rat Genome 230 2.0 (Affymetrix)

*;ここで用いている「変異」とはAmes試験で陽性と判定されたものを指します。

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■解析結果

(1) 相関性解析

 2,4-Diaminotoluene(2,4-DAT)、2,6-Diaminotoluene(2,6- DAT)の各投与群ならびに各媒体対照群の同一群内のマイクロアレイデータについて総あたりの相関性解析を行いました。その結果、全ての比較結果について相関係数(r)は0.99以上を示し、傾向の異なるデータは含まれていませんでした。結果の代表例として2,4- DATの結果を図1に示しました。

  • 図1 2,4-DATの対照群3個体間の相関性解析結果
    図1 2,4-DATの対照群3個体間の相関性解析結果

(2) クラスター解析

 それぞれの群の遺伝子発現パターンの類似性をみるために全12データを用いてクラスター解析を行いました。全検体でP又はMフラグを示した14,109プローブを用いてクラスタリングを行った結果、2,6-DAT以外は同じ群のデータでクラスターを形成しました(図2)。また、2,6-DATの3個体目のデータはクラスターを形成しませんでしたが、1個体目と2個体目の近くに位置していました(図2)。これは、2,6-DATの投与による変動が媒体対照群の変動に近いことが考えられました。

  • 図2 階層的クラスタリングの結果
    図2 階層的クラスタリングの結果
    連結法:Average, 距離関数:Pearson Uncentered
    遺伝子数: 14,109

(3) 変動遺伝子群の抽出

 2,4-DAT、2,6-DATそれぞれ投与群の平均値のシグナル値を、溶媒対照群の平均値で割ることで発現比(投与群/対照群)を算出しました。更に、2,6-DATに比べて2,4-DATの投与で発現比が1.5倍以上、もしくは0.67倍以下変動する遺伝子を選定しました。その結果、2,6-DATに対して1.5倍以上変動した遺伝子数は694種類、0.67倍以下変動した遺伝子数は484種類でした(図3)。

  • 図3 2,6-DATに比べて2,4-DATで1.5倍以上(赤線; 694遺伝子)もしくは0.67倍以下(青線; 484遺伝子)変動した遺伝子のグラフ
    図3 2,6-DATに比べて2,4-DATで1.5倍以上(赤線; 694遺伝子)もしくは
    0.67倍以下(青線; 484遺伝子)変動した遺伝子のグラフ

(4) GO (Gene Ontology)分類

 2,6-DATに対して1.5倍以上変動した694遺伝子と0.67倍以下変動した484遺伝子のGO解析を行った結果、細胞周期の制御(図4)や細胞死に関連する機能(図5)を有する遺伝子が変動していることが分かりました。

  • 図4 1.5倍以上変動した遺伝子のGO解析結果
    図4 1.5倍以上変動した遺伝子のGO解析結果
  • 図5 0.67倍以下変動した遺伝子のGO解析結果
    図5 0.67倍以下変動した遺伝子のGO解析結果