業務案内

  1. Home
  2. 業務案内
  3. 材料・素材(ゴム・プラスチック等)
  4. 加硫ゴムの架橋密度及び架橋形態の測定
  1. 加硫ゴムの架橋密度及び架橋形態の測定

加硫ゴムの架橋密度及び架橋形態の測定

 架橋はゴムの機械的特性、力学的特性及び化学的特性に大きな影響を与えることから、加硫ゴムの架橋密度及びその形態を明らかにすることは重要です。
 硫黄加硫系の場合には加硫剤の種類によって様々な架橋構造が生成することが知られています。硫黄による架橋にはモノスルフィド、ジスルフィド、ポリスルフィド架橋等があり、一般にはこれらが混在しています。これらの結合の量や割合はゴムの物理的性質を決定し、ゴム製品の性能改良や熱老化性などに大きく影響します1), 2)

  • 図1.硫黄による架橋構造の模式図
    図1.硫黄による架橋構造の模式図

 

  • 図2.架橋密度と加硫ゴムの諸物性の関係
    図2.架橋密度と加硫ゴムの諸物性の関係

 

  • 表1.各架橋形態の結合エネルギー及びそれが寄与する各物性の例
    表1.各架橋形態の結合エネルギー及びそれが寄与する各物性の例

 ゴム材料は適切な溶媒中で膨潤し、架橋の網目構造の内部に溶媒を保持することができます。膨潤が進むと、ゴムの体積が増大し高分子鎖が伸ばされます。材料の溶媒を保持する能力と高分子鎖の弾性がつりあう点で膨潤は平衡に達します。このとき、平衡膨潤法では試験片の膨潤前後の質量を、膨潤圧縮法では膨潤状態の試験片の変位と力の関係を測定することで、架橋密度を計算することが可能です。
 CERIでは修正Flory-Rehnerの式を用いた平衡膨潤法、あるいはFloryの理論式を用いた膨潤圧縮法によりゴム試料の架橋密度(網目鎖濃度)2),3)を測定可能です。2つの手法にはそれぞれ長所・短所がありますので、測定対象のゴム種や厚さ、形状等に応じて適した手法で測定します。
 また、ゴム材料を適切な試薬で処理することによってジスルフィド架橋及びポリスルフィド架橋を切断し、切断前後の架橋密度を比較することでゴム材料の架橋形態を見積もることが可能です。

  • 図2.加硫ゴムの溶媒による膨潤の模式図
    図3.加硫ゴムの溶媒による膨潤の模式図

 

  • 図3.加硫ゴムの膨潤前後及び乾燥後の写真(試験片厚さ2 mm)
    図4.加硫ゴムの膨潤前後及び乾燥後の写真(試験片厚さ2 mm)
修正Flory-Rehner式(平衡膨潤法)
Floryの理論式(膨潤圧縮法)
参考文献
  • 1) 新版 ゴム技術の基礎 改訂版、日本ゴム協会編.
  • 2) ゴム工業便覧 第4版、日本ゴム協会編.
  • 3) ゴム試験法 第3版、日本ゴム協会編.