架橋はゴムの機械的特性、力学的特性及び化学的特性に大きな影響を与えることから、加硫ゴムの架橋密度及びその形態を明らかにすることは重要です。
硫黄加硫系の場合には加硫剤の種類によって様々な架橋構造が生成することが知られています。硫黄による架橋にはモノスルフィド、ジスルフィド、ポリスルフィド架橋等があり、一般にはこれらが混在しています。これらの結合の量や割合はゴムの物理的性質を決定し、ゴム製品の性能改良や熱老化性などに大きく影響します1), 2)。
ゴム材料は適切な溶媒中で膨潤し、架橋の網目構造の内部に溶媒を保持することができます。膨潤が進むと、ゴムの体積が増大し高分子鎖が伸ばされます。材料の溶媒を保持する能力と高分子鎖の弾性がつりあう点で膨潤は平衡に達します。このとき、平衡膨潤法では試験片の膨潤前後の質量を、膨潤圧縮法では膨潤状態の試験片の変位と力の関係を測定することで、架橋密度を計算することが可能です。
CERIでは修正Flory-Rehnerの式を用いた平衡膨潤法、あるいはFloryの理論式を用いた膨潤圧縮法によりゴム試料の架橋密度(網目鎖濃度)2),3)を測定可能です。2つの手法にはそれぞれ長所・短所がありますので、測定対象のゴム種や厚さ、形状等に応じて適した手法で測定します。
また、ゴム材料を適切な試薬で処理することによってジスルフィド架橋及びポリスルフィド架橋を切断し、切断前後の架橋密度を比較することでゴム材料の架橋形態を見積もることが可能です。