工業製品(ゴム、プラスチック)、食品、医薬品等に含まれる水分は製品の劣化や品質の低下を及ぼすためその量を把握することは重要となります。水分を測定する方法としてカールフィッシャー滴定法、乾燥減量法、蒸留法等、様々です。その中でもカールフィッシャー法による水分測定は定量範囲、適用範囲が広いため有効な測定方法です。
カールフィッシャー滴定法には、(1)容量滴定法、(2)電量滴定法の2つの方法があります。
容量滴定法は、カールフィッシャー試薬中のよう素と水が反応(@式)することを利用した滴定法です。
試料中に含まれる水分は以下の式によって求められます。容量滴定法では、力価と呼ばれる単位体積あたりの水の等量を求め、水分を算出します。この方法では、数十ppm〜100%まで幅広く測定が可能です。
電量滴定法では、先に示した容量滴定法とは異なり、カールフィッシャー試薬中によう素は含まれておらず、代わりによう化物イオンが含まれています。よう化物イオンは電解酸化に伴いよう素が生成し(A式)、容量滴定法に示した反応式(@式)に従い試料中の水と反応します。この方法では、数ppm〜数%の水分測定が可能であり、微量な水分を測定するのに適しています。
そして、試料中の水分は以下の式によって求められます。