一般的に、ポリマーを主原料として作られる高分子材料の物性はその分子量及び分子量分布に大きく左右されるため、ポリマーごとに分子量及び分子量分布の異なる複数のグレードが市販されています。この分子量及び分子量分布を測定することで、設計通りのグレードのポリマーが使用されているかを確認することができます。また、使用する高分子によっては成形条件や使用過程において分子量分布が変化し、製品性能が低下する(劣化する)可能性があることから、分子量分布を把握することは成形時や使用時の劣化挙動を知るうえでも重要です。
分子量及び分子量分布はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)※で測定することができ、次式で定義される重量平均分子量( )、数平均分子量()、多分散度(/)が得られます。GPCでは以下に例示した有機溶媒に可溶な高分子を測定可能です。
※GPCはサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)とも呼ばれます
ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリブテン(PB)、ポリスチレン(PS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンエーテル(PPE、PPO)、ポリアセタール(ポリオキシメチレン:POM)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PSU、PSF)、ポリアリレート(PAR)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート(PBS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂(可溶分のみ)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリイミド(PI)前駆体(ポリアミド酸)
天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリジメチルシロキサン(シリコーンオイルや未架橋シリコーンゴムなど)、ポリウレタン(PU)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)、スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(SBS)、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(SIS)
硬化前フェノール樹脂、硬化前エポキシ樹脂、高分子量可塑剤、潤滑油、グリースなど
テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,Nジメチルアセトアミド(DMA)、N -メチル-2-ピロリジノン(NMP)、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、o-ジクロロベンゼン(o-DCB)、1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)
加硫ゴム、熱硬化性樹脂などの三次元網目構造を有するポリマー(溶剤可溶分のみであれば測定可能)、ポリマーラテックス(水分を蒸発乾固し、残った残渣が溶媒に溶解するのであれば測定可能)など