におい(匂い、臭い)は揮発性物質を嗅覚により感知することで生じます。人の嗅覚が感じられる濃度(閾値)は、物質によって異なりますが、0.1 pptオーダーの濃度を捉えられる物質も存在します。そのため、においに起因する物質を検出するには、微量物質を対象とする分析技術が必要であり、夾雑物との差異を判定するための解析技術が必要となります。
本機構では、工業製品、食品、化粧品、衣類等さまざまな試料について、においの分析を行っています。複数人での官能試験により、においの質を確認した後、におい物質をヘッドスペース(HS)法、ダイナミックヘッドスペース(DHS)法、加熱脱着(TD)法、固相マイクロ抽出(SPME)法等により捕集し、ガスクロマトグラフ-質量分析計(GC-MS)により検出します。その後、データベースに基づき解析することで、においの物質を特定します。
通常納期は5〜10日(営業日)です。短納期の試験も承りますので、まずはご連絡ください。
DHS-GC-MS |
TD-GC-MS |
におい分析に用いる装置の例 |
におい分析フローチャート例
蓄積された過去のデータから原因物質を予想 | |
HS法、TD法、SPME法、スターバー抽出(SBSE)法など 対象物質の濃度、マトリクスにより導入方法を選択 官能試験、GC-MS分析により同定した物質から、異臭の原因物質を特定 |
官能試験により飲料水からかび臭のような異臭が認められました。においの対象が水に含まれることからSBSE-GC-MS法により分析を実施しました。
トータルイオンクロマトグラム
かび臭の原因物質である2,4,6-トリクロロアニソールを検出 |
異臭ある水、正常な水ともに多種類の物質が検出されました。クロマトグラムの減算を行い、正常な水から不検出のピークを同定することで、かび臭の原因となる2,4,6-トリクロロアニソールが10 pptオーダーの濃度で検出されました。