タイヤ摩耗粉塵(Tire and Road Wear Particles: TRWP)は、道路路面とタイヤトレッドとの摩擦により生じる微小な摩耗粉であり、タイヤトレッドのゴムや道路路面のアスファルト由来の鉱物粒子などから構成される複合物質です。TRWPは環境中のマイクロプラスチックの排出源として高い割合を示すという複数の報告もあり、TRWPが人の健康及び環境に及ぼす影響などのリスクが懸念されています。
EU圏内においては、タイヤやブレーキの摩耗で飛散する微粒子を含む排出ガス規制「ユーロ7」が検討されています。
TRWPの分析は様々な方法が試みられています。公定法としては熱分解ガスクロマトグラフ質量分析(Py-GC/MS)法を用いた次のISO規格が規定されています。
これらの規格は、タイヤトレッドを構成するスチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)の含有量を把握する方法です。 SBR及びBRはビニルシクロヘキセン、NRはジペンテンを熱分解生成物(マーカー)としてPy-GC/MS法で測定し、サンプル中のTRWP量を測定します。
本機構では、土壌、河川堆積物、海洋堆積物、大気粉塵等に含まれるTRWPの調査について多数の実績があります。
また、TRWPに関する他の分析手法である、走査型電子顕微鏡エネルギー分散型X線分光法(SEM-EDX)による観察・元素マッピング、タイヤに含まれる添加剤(加硫促進剤、老化防止剤、酸化亜鉛)の環境調査等も実施していますので、お問い合わせください。
・タイヤと道路の摩擦により発生する摩耗粉塵(TRWP)の環境調査
尾坂ら, 日本ゴム協会エラストマー討論会,2022
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