高分子材料は劣化により分子量(分子の長さ)が変化し、強度も低下します。GPC(もしくはSEC)では、劣化により生じる分子量及び分子量分布の変化を検出可能であるため、各種高分子製品が化学的に劣化したかどうかを調査できます。特に、ポリアミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリウレタンのようなFT-IR法では劣化の進行を判別することが困難な材質の劣化評価において役立つ手法です。本機構では、GPC法を含む複数の手法による総合的な劣化分析の受託が可能です。
耐候性試験機による促進劣化処理を施し、劣化前後でのPA6の分子量を測定した結果を図1に、得られた数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び多分散度(Mw/Mn)を表1にそれぞれ示します。

| 試料 | 数平均分子量 Mn×10-3 |
重量平均分子量 Mw×10-4 |
多分散度 Mw/Mn |
|---|---|---|---|
| 未処理 | 14.5 | 3.28 | 2.3 |
| 72 h処理後 | 9.6 | 2.42 | 2.5 |
| 168 h処理後 | 5.6 | 2.02 | 3.6 |
図1では光劣化によりPA6の高分子量成分が減少するとともに低分子量成分が増加している様子が認められ、表1では光劣化によりMn及びMwが低下し、Mw/Mnが増加している様子が認められます。PA6の光劣化では、分子鎖の切断反応が主体的に生じていることがわかります。
市場で破損したPP製品の劣化状況をGPC法により調査した結果を図2及び表2にそれぞれ示します。

| 試料 | 数平均分子量 Mn×10-4 |
重量平均分子量 Mw×10-4 |
多分散度 Mw/Mn |
|---|---|---|---|
| 不良品 | 1.95 | 5.75 | 2.9 |
| 良品 | 2.36 | 7.76 | 3.3 |
| 新品 | 4.63 | 21.6 | 4.7 |
市場で使用された不良品及び良品はともに低分子量化が進行しており、また、不良品は良品よりも劣化が進行している様子も認められます。この結果から、不良品は劣化度が高いために強度が弱く、外力が負荷された際に破損を生じたものと推察されます。
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