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熱物性

  1. 熱物性(熱拡散率、熱伝導率)

熱物性(熱拡散率、熱伝導率)

各種材料の熱拡散率、熱伝導率を測定します。

 熱伝導率は物質の熱の伝わりやすさを表す物性値で、断熱材や保温材の断熱性能、放熱シートや基板材料の放熱性能などを評価できます。本機構ではゴムやプラスチックなどの高分子材料をはじめ、セラミックス、金属、粉体から粘性液体まで幅広い性状の材料を対象に、熱流計法、レーザーフラッシュ法、周期加熱法及び熱線法による熱拡散率、熱伝導率の受託分析を行っています。

  • 測定方法

 熱伝導率の測定法は定常法と非定常法に分類され、材料の形状と熱伝導性により適正な測定方法が決まります。

定 常 法:試料に定常的な温度勾配を与え、熱伝導率を測定する方法(熱流計法)
非定常法:試料に過渡的な熱流エネルギーを加え、試料の温度応答から熱伝導率を算出する方法
     (レーザーフラッシュ法、周期加熱法、熱線法)

各測定法における熱伝導率の測定範囲と評価材料の目安
各測定法における熱伝導率の測定範囲と評価材料の目安

定常法
測定方法 熱流計法
対応規格 JIS A 1412-2、ISO 8301 ASTM E 1530
測定原理 試料上面から下面への熱流が定常流になった状態で、試料上面温度、試料下面温度及び熱流束を測定し、熱伝導率既知の基準試料と比較することで熱抵抗値を求め、熱伝導率を算出します。
試料の比熱や密度が不明でも熱伝導率を測定することができます。
装置概略図
装置概略図
装置概略図
装置概略図

λ :熱伝導率
q :単位面積あたりの熱流密度
θ12 :試料の表面温度
d :試料の厚さ
R :試料の熱抵抗

λ :熱伝導率
d :試料の厚さ
R :試料の熱抵抗
測定温度 20〜80 ℃ 30〜250 ℃
雰囲気 大気中 大気中
測定範囲 0.005〜0.5 W/(m・K) 0.1〜15 W/(m・K)
対象材料 断熱材 固体
試料サイズ 200〜300 mm×200〜300 mm
厚さ5〜100 mm
25 mm×25 mm
厚さ1〜8 mm
装置写真
熱流計方式熱伝導率測定装置
(NETZSCH社製 HFM436/3/1 Lambda)

熱流計方式熱伝導率測定装置
(アドバンス理工製 GH-1)

※試料サイズは標準形状です。標準形状に当てはまらない場合はご相談に応じます。

非定常法
測定方法 レーザーフラッシュ法 周期加熱法 熱線法
対応規格 JIS R 1611 ISO 22007-3 JIS R 2251-2
測定原理 試料表面からレーザー光を照射し、裏面の温度上昇曲線を解析することで熱拡散率や比熱を求めます。 試料表面に温度波を加え、試料裏面に伝わる温度波の位相遅れの周波数依存性から熱拡散率を求めます。 試料中心部のヒーター線に通電したときのヒーター線の温度変化を測定・解析することで熱伝導率を求めます。
装置概略図
装置概略図
装置概略図
装置概略図
装置概略図
装置概略図

試料裏面の温度上昇曲線
解析方法
・ハーフタイム法
最高温度上昇 Tm の半分に達する時間 t1/2と試料の厚さLから熱拡散率αを求めます。

・カーブフィッティング法
温度上昇曲線に理論曲線を適合させ、熱拡散率を求めます。

温度−時間曲線

Δθ :位相遅れ
f :周波数
d :試料の厚さ
α :熱拡散率

時間(対数)−昇温曲線

λ :熱伝導率
K :センサー定数
R :単位長さあたりの電気抵抗
I :加熱電流
t :測定時間
T :温度
測定温度 20〜1500 ℃ 20〜250 ℃ −100〜1000 ℃
雰囲気 窒素中、真空中、大気中 大気中 大気中
測定範囲 < 1.2×10-5 m2/s 1×10-8〜2×10-5 m2/s 0.01〜10 W/(m・K)
対象材料 固体 フィルム 断熱材、固体、粉体、粘性液体
試料サイズ 直径10 mm (10 mm角)
又は直径5 mm (5 mm角)
厚さ1〜3 mm
7 mm×15 mm
厚さ7.5〜500 μm
50 mm×100 mm
厚さ20 mm(2枚)
装置写真
レーザーフラッシュ法熱物性測定装置
(京都電子工業製 LFA-502)

周期加熱法拡散率測定装置
(アドバンス理工製 FTC-1)

熱線法熱伝導率測定装置
(京都電子工業製 QTM-500)

※試料サイズは標準形状です。標準形状に当てはまらない場合はご相談に応じます。


  • 熱拡散率、熱伝導率測定の応用分野

 携帯電話やスマートフォン、ノート型パソコン、タブレット端末などの電気電子機器に用いられる半導体、電池、電子部品の小型化、高性能化に伴い、サーマルマネジメント(材料)に対する要求が高まっています。第5世代移動通信システム(5G)においては情報処理量の大幅な増加に伴い、デバイスの発熱密度及び発熱量も増大していることから、高熱伝導性フィラーなどを利用した放熱性に優れた材料が注目されています。燃料電池自動車(FCV)や電気自動車(EV)のような次世代自動車の開発においても、バッテリー性能や航続距離の維持といった安全性を確保する上でサーマルマネジメントが欠かせません。一方で、省エネルギーに対する関心の高まりから、建材分野ではより断熱性能の高い材料が要求されており、あらゆる分野において高精度での熱抵抗、熱伝導率等の評価が求められています。
 これらの材料開発、製品設計、試作及び検証において、CAE(Computer-Aided Engineering)技術を用いたシミュレーションや数値解析が積極的に用いられていますが、特に熱伝導解析では熱伝導率及び比熱が重要な入力要素となります。

熱拡散率の測定例
 レトルトパウチ及び放熱シートの熱拡散率の温度依存性を示します。レトルトパウチは放熱シートと比較して熱拡散率が低いことから断熱性が高く、温度依存性も低いことがわかります。


  • 試験片厚さ:115 μm
    材質:ポリプロピレンとアルミニウム

  • 試験片厚さ:115 μm
    材質:グラファイト



  • 熱伝導率に関する主な研究論文
  • 加硫天然ゴムの加硫密度と熱拡散率および熱伝導率の関係
    松坂奈緒子;近藤寛朗;渡邊智子;大武義人 熱測定 2007, 34, 202.
  • 熱伝導率による加硫天然ゴムの熱酸化劣化評価
    松坂奈緒子;近藤寛朗;渡邊智子;大武義人 日本ゴム協会誌 2008, 81, 3.


  • 問合せ先

測定条件等については、こちらのフォームからお気軽にお問い合わせください。
複合材料など、どの試験方法が適しているかわからない場合はご相談に応じます。

電話でのお問合せ
0480-37-2601
(東京事業所 高分子技術部門)