化学物質による環境汚染に関する急速な関心の高まりを背景に、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の促進に関する法律(化学物質排出把握管理促進法)」が施行され、化学物質の排出等の状況に関する情報が整備されつつあります。
一方、化学物質排出把握管理促進法により指定されている化学物質の中にも、有害性情報が極めて少ないもの、発生源が局所的なもの、河川や大気中のモニタリングがなされていないもの等、十分な情報が得られていない化学物質が数多く存在します。
なかでも化学物質の有害性情報は、環境中の生物やヒトの健康へ及ぼす影響等を判断する上で中心になる情報です。われわれは現時点でのこれらの情報を収集、整理し、必要とする人々に提供するため化学物質の有害性評価書を作成しました。
ここに、公開するCERI有害性評価書は、すでに(独) 製品評価技術基盤機構 (NITE) のホームページに公開されている化学物質有害性評価書(そのうち7物質については英語版有害性評価書を作成)の要点のみを簡潔に示すことによって、すばやくその有害性を一望し、化学物質のリスクを判断するおおよその手がかりを提供するものです。
CERI有害性評価書は、読み易く簡易な冊子にするため、かなりの部分を (一財) 化学物質評価研究機構の責任の下に削除していますので、さらに詳細な情報を必要とする場合には、原版である化学物質有害性評価書を読み進まれることをお勧めいたします。また、文献一覧は原版と同じものを用意し、作成時点での重要文献を網羅的に示していますので、読者が独自に調査を進める場合にもお役に立つものと思います。
なお、化学物質有害性評価書は、(独) 新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) の委託事業である「化学物質総合評価管理プログラム」の中の「化学物質のリスク評価およびリスク評価手法の開発プロジェクト」でNITEとCERIが作成したものです注1)。有害性評価 (環境中の生物への影響及びヒト健康への影響) については外部の有識者によるレビューを受け、その後、経済産業省化学物質審議会管理部会・審査部会注2)安全評価管理小委員会の審議、承認を得ています。
注1) その他、有害性評価書のデータを基に暴露評価を加えリスク評価を行なった、初期リスク評価書をNITEホームページで公開。
注2) 平成19年1月26日より、化学物質審議会の組織編成変更により、『経済産業省化学物質審議会審査部会安全評価管理小委員会』となりました。