例えばトランプの束の上面に力を加えると、各層が高さに比例して移動します。このような傾きをもった変形をせん断変形と呼びます。
高さ分だけ最上面がずれた状態をひずみ1(100 %)とし、変形にかかった時間でひずみを割った値をせん断ひずみ速度としています。
材料の混練、押出成形でのダイ内、射出成形では、せん断変形(せん断流動)が支配的で、成形性を評価する上でせん断変形時の物性が必要となります。
液体及び溶融体を管を通して輸送する場合、図のように壁面側が遅く、中央部の流動が速いせん断変形(せん断流動)を生じます。
キャピラリーレオメータ(RH2200)は、一定流量で細管を通した際の圧力を測定し、粘度(流動抵抗)のせん断速度依存性を評価できます。キャピラリーレオメータは、回転レオメータと比較して速いせん断速度域に用いられます。装置がオーバーロードしなければせん断速度106(1/s)域の測定も可能です。材料の混練、押出ダイ内や射出成形での充填時の評価が可能です。測定を工夫することで、溶融密度、熱伝導率、PVTPressure Volume Temperatureの略であり、成形加工時の熱収縮の評価に用いられる測定なども測定することが可能です。
回転レオメータでは、パラレルプレートジグの片側を回転させ、せん断変形を起こし、もう一方でトルクを測定します。(パラレルプレート以外に、材料によってコーンプレート、共軸二重円筒、トーションレクタンギュラー等を用います。)回転レオメータは、キャピラリーレオメータと比較して遅いせん断速度域に用いられます。材料の混練、押出ダイ内や射出成形での充填完了後の評価が可能です。材料に振動を与えることで粘度だけでなく複素弾性率も評価でき、さらに固体の粘弾性評価も可能です。温度及び周波数を変え温度時間換算則を適用することで、材料の幅広い速度範囲の運動性の評価が可能です。
DMA測定機は、材料をジオメトリに固定し、片側で材料をずらすように変形を与えせん断を起こし、もう一方で荷重を測定します。DMA測定機は、主に固体の測定に用いられ、回転レオメータと比較すると、高荷重が必要なガラス領域〜ゴム領域にかけての測定に用いられます。