レオロジーは、対象に外力を加え応答を議論する学問です。外力に対する応答の関係から対象の応答性の違いを比較評価します。対象は、物質に限らずいかなるものにも適用でき、測定対象によって高分子レオロジー、ケモレオロジー、バイオレオロジー、サイコレオロジー、ヘモレオロジーのように呼ばれます。
本機構では、高分子材料(ゴム、プラスチック)に加えて、液体、金属、セラミックス等の評価についても受託試験、技術相談に対応しています。
レオロジー評価は、
の目的でよく使用されます。
例えば、おもちゃのゴムボールやスライムを床に落とすと弾む場合と弾まない場合があります。レオロジーの動的粘弾性測定で材料の持つ弾性(弾む)と粘性(弾まない)の度合いである損失正接を評価できます。
弾性(弾む):与えたエネルギーは貯蔵され反発力になる。
粘性(弾まない):与えたエネルギーは熱エネルギーに変換される。
材料の弾性及び粘性は、材料種(分子構造、分子量、分子量分布、架橋密度、固体充填量等)及び床に衝突した際の変形速度に依存します。詳細は、周波数依存性測定及び動的粘弾性試験と振り子を参照。
動的貯蔵弾性率が大きい程(損失正接が1より小さくなる程)材料は弾み
動的損失弾性率が大きい程(損失正接が1より大きくなる程)材料は弾まなくなる。
測定項目
・動的貯蔵弾性率:変形の際に試料に貯えられたエネルギーの尺度
・動的損失弾性率:変形の際に、発熱等により試料から損失したエネルギーの尺度
・損失正接:動的損失弾性率を動的貯蔵弾性率により除した値、値が大きいほど粘性が大きい
レオロジー測定では、得意なひずみ領域、試料の状態、試料の性質、変形モードによって使用する装置を選択します。それぞれの分類を表に示します。
ひずみ領域 | 試料の状態 | 試料の性質 | 変形モード | 主な対応装置 |
---|---|---|---|---|
線形粘弾性 (非破壊) |
固体 | 柔らかい | 引張、圧縮、曲げ | RSA-G2 |
ねじり | ARES-G2 | |||
硬い、厚い | 引張、圧縮、せん断、曲げ | DMA+1000 | ||
未反応ゴム | せん断 | RPA2000 | ||
液体・溶融体 | せん断 | ARES-G2 | ||
非線形粘弾性 (大変形) |
固体 | 柔らかい、薄い | ねじり | ARES-G2 |
硬い、厚い | 引張、圧縮、せん断、曲げ | DMA+1000 | ||
未反応ゴム | せん断 | RPA2000 | ||
液体・溶融体 | せん断 | ARES-G2 |
せん断速度領域 | 試料の状態 | 試料の粘度 | 変形モード | 主な対応装置 |
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低速せん断(100/s以下) | 液体・溶融体 | 低粘度〜中粘度 | せん断 | ARES-G2 |
高速せん断(10/s以上) | 液体・溶融体 | 中粘度〜高粘度 | せん断・(伸長:cogswellによる) | RH2200 |
実際の成形や使用環境に合わせたレオロジー評価をする上で、材料がどのような変形をどのくらい受けるかを知ることが重要です。変形速度によって材料の粘弾性挙動が変わるため、変形速度を知ることは不具合改善のために有効です。
レオロジーで扱う変形は、大きく2つに分けることが出来ます。