ゴム加工性試験機RPA2000は,ゴムコンパウンドの様々な加工性評価に用いられています。密閉式バイコニカル型ダイ(図1)によって、未加硫・加硫ゴム両方の測定が可能であり、未加硫→加硫中→加硫後のゴムの動的特性を連続的に測定できます(図2)。また、大振幅振動せん断(LAOS:Large Amplitude Oscillatory Shear)領域における動的粘弾性測定及び解析も可能です。
図1 RPA2000のダイの概略図 | 図2 RPA2000を用いた未加硫→加硫中→加硫後の連続測定時の温度・周波数・ひずみ制御の例 |
未加硫ゴムの流動性は一般にムーニー粘度で表示されますが、これは特定のせん断速度での粘度であり、あくまでも流動性の大まかな目安とすべきです。未加硫ゴム加工における速度領域を図3に示します。各工程での流動性を予測するためには、広いせん断速度域での粘度を測定する必要があります。
図3 未加硫ゴム加工の概ねの速度領域[1]と加工性の評価法
カーボンブラックに代表されるフィラー分散の度合いは、ゴムの加工性・物性・耐久性に大きく影響を及ぼすので、フィラー分散性の評価は重要です。未加硫ゴムのPayne効果については、ASTM D8059 - 16「Standard Test Method for Rubber Compounds―Measurement of Unvulcanized Dynamic Strain Softening (Payne Effect) Using Sealed Cavity Rotorless Shear Rheometers」に規定されており、RPA2000を用いて測定・評価可能です。
RPA2000の装置の概要を表1に示します。本機構における測定事例として、RPA2000を用いた周波数依存性測定、ひずみ依存性測定及び温度依存性測定について紹介します。
表1 RPA2000の装置仕様及び測定項目
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測定事例1 周波数依存性測定(ひずみと温度を一定にし、サンプルの動的特性の周波数依存性を測定)
測定条件(測定温度:100 ℃,動的ひずみ:1 %,周波数:0.01 Hz ~ 50 Hz)
測定事例2 ひずみ依存性測定(周波数と温度を一定にし、サンプルの動的特性のひずみ依存性を測定)
測定条件(測定温度:100 ℃、周波数:0.5 Hz、動的ひずみ:0.07 % ~ 650 %)
測定事例3 温度依存性測定(周波数とひずみを一定にし、サンプルの動的特性の温度依存性を測定)
測定条件(測定温度:100℃~200℃、周波数:0.5 Hz、動的ひずみ:0.1%)
[1] レオロジー工学とその応用技術、中江利昭 監、2001、フジ・テクノシステム、p.389