一般化フォークトモデル近似を行うための周波数依存性のデータを用意する。
ここでは基準温度160℃におけるHDPEのマスターカーブを使用する。作成方法は、温度時間換算則、測定事例8を参照
ただしフォークトモデル近似を行うため、貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G”を貯蔵クリープコンプライアンスJ’及び損失クリープコンプライアンスJ”に変換する。(式1、式2)
マスターカーブを一般化フォークトモデル近似により、i=9項の遅延成分に分離する。
(式1、式2中のλiは各遅延成分の遅延時間、ωは周波数、Jiは各遅延成分の遅延クリープコンプライアンス、J’は貯蔵クリープコンプライアンス、
J”は損失クリープコンプライアンス、ηは粘度である。)
9項に分離した遅延成分(J’1〜J’9及びJ”1〜J”9)を全て足し合わせた近似値は、測定値をよく再現している。
各遅延成分の遅延クリープコンプライアンスJiは、貯蔵クリープコンプライアンスJ’、損失クリープコンプライアンスJ”への近似を行うに当たり、同じ値を用いる。
一般化フォークトモデル近似で用いた各遅延成分の遅延時間λiと遅延クリープコンプライアンスJiをプロットする。
これを離散型遅延スペクトルと呼ぶ。
遅延時間は、応力を受けた構造が変形して最終的なひずみに達するまでの時間であり、粘性の寄与が大きくなる時間を表す。分子量が大きい程遅延時間は長くなる。
遅延クリープコンプライアンスは、各遅延成分が与えた応力に対し、どのくらい変形するかを示している。