業務案内

  1. Home
  2. 業務案内
  3. 材料・素材(ゴム・プラスチック等)
  4. 促進耐候(光)性試験

促進耐候(光)性試験

  1. 促進耐候(光)性試験

キセノンウェザーメータ+過酸化水素噴霧ユニットによる耐候性試験

概要

 本装置は、キセノンランプによる光照射と過酸化水素水の噴霧(HEシステム)を組み合わせたものです。二酸化チタンを顔料とした白色塗膜など、二酸化チタンの光触媒作用で高活性なラジカルや過酸化物を生成することに着目した超促進劣化試験機です。
 試験手順、@試料をパネルに固定し、試験装置内に取り付けます。A屋外、屋内用のフィルタ、Bブラックパネル温度(BPT)(暗黒時は試験槽内温度)、C水の付加(過酸化水素水、イオン交換水)を設定します。D暴露処理後の外観観察、色差測定強度測定表面分析等の評価試験を行います。

◆装置内部◆
 
◆仕様◆
型式: ATLAS Ci4000(株式会社東洋精機製作所)
パネルサイズ: 150 mm×70 mm
パネル数: 65枚
放射照度: 30 W/m2〜160 W/m2(300 nm〜400 nm)
狭帯域340、420 nmでも制御可能
ブラックパネル温度(BPT): 40 ℃〜110 ℃
実使用に近い温度環境
湿度: 10〜75 %RH(照射時)
広範囲で高精度の制御が可能
     
◆試料取付け例◆
 

その他、製品形状や大型の試験片も対応できます。ご相談ください。

◆フィルタの種類◆
使用用途 アウターフィルタ インナーフィルタ
屋外 「S」ボロシリケイト 「S」ボロシリケイト
屋内 ソーダライム
強エネルギー 「CIRA」ボロシリケイト
太陽光近似 石英 Right−light®

 

光照射と過酸化水素水の噴霧による塗膜や高分子材料の評価にも対応します。

◆主な対応規格◆
・ゴム: JIS K 6266, ISO 4665
・プラスチック: JIS K 7350-2, ISO 4892-2
・塗料: JIS K 5600-7-7
・建築: JIS A 1415
・繊維: JIS L 0891, JIS L 0843
ISO 105-B-02, ISO 105-B-04, ISO 105-B-06
・非鉄金属: ASTM G151, ASTM G155
・電気,電子: IEC 60068-2
・自動車: JIS D 0205, JASO M 346
SAE J 1885, SAE J 1960
Ford FLTM BO116
Peugeot/Citroen D27
VW PV 1303, VW PV1306
VW PV 3929, VW PV3930
 

 

試験・評価例

アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)の超促進耐候性評価

 本試験に用いたキセノンウェザーメータは、高分子材料の顔料に含まれる酸化チタンの光触媒作用を活性化させる過酸化水素水(H2O2)を噴霧することが可能です。そのため、酸化チタンを主顔料とした塗料や塗膜の評価に有効であることが実証されています。一方で樹脂やゴム材料への有効性については実証されていないため、以下の評価を実施しました。

◆耐候性試験条件◆
条件 H2O H2O2
BPT 63 ℃
放射照度 60 W/m2 (300〜400 nm)
フィルター インナー:タイプSボロシリケイト
アウター:タイプSボロシリケイト
噴霧条件及び噴霧水の種類 120分間照射中 18分間噴霧
脱イオン水 1.0 wt%過酸化水素水
暴露時間 600時間
※ブラックパネル温度

 

◆劣化評価◆

走査電子顕微鏡 (SEM)を用いて、暴露面の形態観察を行った結果を図1に示します。噴霧水が脱イオン水では変化はありませんでしたが、1.0 wt%過酸化水素水では数 μmの亀裂が多数確認されました。

未処理脱イオン水1.0wt%過酸化水素水
図1 SEMによる表面形態観察

より微小領域かつ深さを含めた3次元的な観察に最適な原子間力顕微鏡(AFM)を用いて表面形態の観察を行いました。AFM測定では、表面粗さ(算術平均粗さRa)を求めることができるため、表面の凹凸を定量的に評価することが可能です。

未処理脱イオン水1.0wt%過酸化水素水
図2 AFMによる表面形態観察及び算術平均粗さ(Ra値)

 塗膜や塗料だけでなく、ABSにおいても図1及び図2のように表面状態に差異が認められたため、過酸化水素水噴霧による耐候性試験はABSにも有効です。
 そのほかフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)電子マイクロアナリシス(EPMA)による表面分析、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による分子量や分子分布測定など様々な分析機器・評価装置を用いて多角的に劣化評価を行うことが可能です。
 耐候性試験においては、放射照度・温度・水噴霧の有無や種類によって劣化度合いや挙動が大きく異なるため、目的に合わせた暴露条件を設定することが重要です。目的や用途によって、こちらから条件をご提案することも可能です。お気軽にお問い合わせください。

 

「耐候性試験Top」へ戻る