ラマン分光分析とは、試料に可視光レーザーを照射した際に生じたラマン線を分光分析することにより、試料を構成する化学構造や結晶性を調べる分析法です。試料の前処理がほぼ不要であり、非破壊で測定できます。また、類似の方法である赤外分光法(IR)と比べて次の利点があります。
上記の特徴から、ラマン分光はあらゆる物質の観察について、有用な手段となっています(金属を除く)。本機構では、異物の同定、相構造のイメージング、高分子材料の劣化分析や結晶状態観察などを承っています。
イメージング法を用いた顕微レーザーラマン分光測定により、クレジットカードの表面近傍の断面を1mmスケールの空間分解能で観察しました。イメージング測定により得られたスペクトルを多変量スペクトル分解(MCR)法により解析した結果、各層の成分が判明しました。
このように、カードやフィルムなどの多層膜について、その種類、存在箇所を同定することができます。