フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)において、複数の素子からなる検出器を用いて試料を測定し、面内の成分分布測定を行う分析法です。複数箇所の赤外吸収スペクトルを一度の測定で得ることが可能です。
イメージングIRには次の利点があります。
イメージングIRを用いて食品包装フィルムの断面を測定した結果、ポリプロピレン(PP)/ポリアミド(PA)/ポリエチレンテレフタレート(PET)の3層から構成されるフィルムであることが判明しました。このようにイメージングIRは、積層フィルムの層構造の解析、面内に分布している異物の分析等のように可視的な材料評価に有用な手段です。
イメージングIRは、高分子材料の深さ方向の劣化評価にも有効です。例として、経年劣化により黄変した白色の樹脂製品について、表面近傍を切り出し、切断面のイメージングIR測定を行いました。IRスペクトルにより、製品に使用されているポリマーはABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)で、表面近傍は内部と比較してヒドロキシ基(O-H基)やカルボニル基(C=O基)による吸収が増大していることから、酸化劣化が進行していることがわかりました。また、ポリマー中のニトリル基(C≡N基)の吸収に対するC=O基の吸収強度比のIRイメージより、表面から深さ約270 μmにかけて酸化劣化が進行しており、特に表面から深さ約100 μmにかけて劣化度が大きいことがわかりました。
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