(定量的)構造活性相関((Q)SAR、以下QSAR)等による予測を用いた評価では、試験を実施せずに、物理化学的性状、環境中運命あるいは人健康・生態影響に関する有害性データを取得できるケースがあります。
CERIではQSAR等の予測を用いた評価として以下のようなメニューをそろえています。
目 次 |
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■ 予測方法の概要 ■ 国内外での活用の動向 ■ CERIが提供するメニューの例 ■ CERIが実施する予測の特徴 |
化学物質の性質を予測する方法には、大きく分けて、QSARによる方法と、カテゴリーアプローチによる方法があります。
QSARは物性等のパラメータを用いて統計的に得られたモデル式により、データがない物質の物性、環境中運命あるいは毒性を予測する方法です。一般に統計学的手法等により構築されたモデル式を用いた予測(例:EcoSAR、TOPKAT)や専門家判断(Expert judgement)によるアラート構造(毒性の発現に寄与する官能基や部分構造)を用いた予測(例:DEREK)があります。
カテゴリーアプローチは、化学物質の構造的な類似性から、性質(物性、環境中運命あるいは毒性)が類似あるいは規則的なパターンを示すと予想される化学物質をグループ化してケミカルカテゴリーを形成した後(OECD, 2007*1))、同じカテゴリー内の化学物質の一部について既に得られている試験結果を用いて、他の化学物質における試験結果を予測する方法です。QSARが適用できないエンドポイントや物質群に対して有効な方法となります。
*1) OECD (2007) GUIDANCE ON GROUPING OF CHEMICALS. Series on Testing and Assessment Number 80.
欧州の化学品規制であるREACH規則、米国におけるTSCA等の制度では、QSARやカテゴリーアプローチによる方法で得られたデータを登録や申請に使用することができます。
また、GHS分類のうち、生殖細胞変異原性や水生環境有害性等の一部の項目において、QSARを用いた予測結果によって分類に対する証拠の重み付けを行うことができます。
日本国内では、企業における化学物質の自主管理において使用されており、JIPS(Japan Initiative of Product Stewardship)では、積極的な活用が推奨されています。
既存情報の調査では信頼できるデータが得られない場合に、試験を実施することなく、QSAR又はカテゴリーアプローチによる方法でデータを補完できる場合があります。
企業における自主管理として、社内で取扱う化学物質について予測によるスクリーニング評価を行い、試験実施や代替物質の検討の優先順位等を付けることができます。
自主管理の一環として、対象物質の試験データがない場合でも、適切な構造類縁体が探索できれば、許容濃度や耐容一日摂取量(TDI:Tolerable Daily Intake)等の設定を行うことができます。
医薬品不純物の遺伝毒性に関する国際的なガイドラインであるICH-M7「Assessment and Control of DNA Reactive(Mutagenic)Impurities in Pharmaceuticals to Limit Potential Carcinogenic Risk」に対応した、医薬品中不純物のQSARによる変異原性予測及び評価を行います。
欧州のREACH規則において、QSARやカテゴリーアプローチによる方法で得られたデータを登録等に使用する場合に要求されているQPRFを作成します。
予測による評価は、用いるQSARモデルやカテゴリーを作成する際のグルーピングの考え方によって、結果が異なってくることもあり、得られた予測結果をどのように解釈すべきか悩むことがあります。CERIの実施する予測では、予測結果に対して、OECD原則*2) 等に基づいて国際的に整備された方法を参考にした信頼性評価を行うとともに、得られたデータの解釈までサポートします。
*2) QSARモデルを規制に利用することを目的した場合に、そのモデルが満たすべき以下の5つの原則のこと。
(1)エンドポイントの定義
(2)曖昧ではないアルゴリズムの定義
(3)適用範囲の定義
(4)適合性、頑健性、予測性の適切な評価
(5)可能ならば、メカニズムに関する解釈
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