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材料分析

セルロースナノファイバー(CNF)・CNF複合材料の分析評価

 セルロースナノファイバー (CNF)は、高アスペクト比の結晶性ナノ素材であり、高強度、高弾性率、低線膨張係数、低密度といった優れた物性を示すことから、ガラス繊維や炭素繊維に続く新たなフィラーとして利用する研究が注目されています。循環型社会の実現に向けて、CNFの分析評価、表面改質及びCNF複合材料の研究開発は、木質バイオマスの豊富な日本において非常に重要な取り組みだと考えられます。CERIでは以下に示すようなCNFやCNF複合材料に関する幅広い評価を受託しています。学術論文、特許のトレース実験や新規開発のサポートも実施しています。

【セルロースナノファイバー(CNF)・CNF複合材料に関する受託メニュー】

項 目 受託内容
結晶構造, 結晶化度 XRD, NMR
構成糖の分析 TAPPI法
官能基の分析, 置換度測定 FT-IR, NMR, XPS, 滴定, Zeisel法
形態観察 偏光顕微鏡, レーザー顕微鏡, SEM, FE-SEM, AFM, TEM
分散評価 粒度分布, イメージングIR (ラマン), SEM, X線CT, AFM, TEM
機械物性 曲げ, 引張, 圧縮, 疲労, クリープ, 動的粘弾性
ガスバリア性 差圧法, ガスクロマトグラフ法
熱伝導率 熱流計法非定常法, レーザーフラッシュ法, 周期加熱法
熱膨張率 TMA
耐熱性 TG-DTA
耐候性 太陽光:サンシャインウェザーメータ, 紫外線オートフェードメータ,キセノンウェザーメータ (+過酸化水素噴霧ユニット),全昼光型メタハライドランプウェザーメータ
オゾン :オゾンウェザーメータ
腐食 :塩水噴霧試験, 複合サイクル試験
分子量 SEC-MALLS
電気特性 表面抵抗, 体積抵抗, 誘電率, 破壊電圧
CNF作製 物理処理(ビーズミル、ディスクミル、高圧ホモジナイザー)
化学処理(TEMPO触媒酸化、リン酸エステル化)
表面改質 エーテル化、エステル化等
複合材料作製 二軸押出機・ロール・密閉型混練機による複合化検討
液中混合による複合化検討
In situ重合による複合化検討
射出成形による試験片作製

【評価事例】

フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)による修飾CNFの分析

 CNFに対して飽和脂肪酸 (18:0)のステアリン酸及び同炭素数の不飽和脂肪酸 (18:1)のオレイン酸をそれぞれ修飾したCNF:Ste-CNF及びOle-CNFを調製し、FT-IRによる分析を行いました。1720 cm-1に観察されたC=O結合の伸縮振動による吸収から、ステアリン酸及びオレイン酸がCNF表面の-OH基とエステル結合を形成していることが確認されました。Ole-CNFについては、3020 cm-1にアルケンのC-H結合の伸縮振動に由来する吸収が認められ、修飾後もC=C二重結合が残存していることが確認されました。

図1 修飾CNFのFT-IRスペクトル
図1 修飾CNFのFT-IRスペクトル

使用装置

図2 Varian 670-IR, 610-IR (Agilent Technologies)
図2 Varian 670-IR, 610-IR (Agilent Technologies)

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13C 交差分極/マジック角回転 (CP/MAS) NMRによるTEMPO酸化CNFの分析

 TEMPO酸化CNFは、ミクロフィフィブリル表面のC6位の水酸基が特異的に酸化されています。TEMPO酸化CNF を13C CP/MAS NMR により分析すると、スペクトル中の175 ppmのシグナルから、カルボキシル基の導入が確認できます。13C CP/MAS NMR は、TEMPO酸化CNFだけでなく、エステル化、エーテル化等の修飾CNFの構造解析にも有用な手法です。
 またCNFのNMRスペクトルは、結晶中と非晶中でのエネルギーギャップにより、C4とC6のシグナルが分裂します。これを利用して、結晶由来のシグナルと非晶由来のシグナルの強度比より、CNFの結晶化度算出を行うことが可能です。

図3 TEMPO酸化CNFの13C CP/MAS NMRスペクトル
図3 TEMPO酸化CNFの13C CP/MAS NMRスペクトル

使用装置

図4 JNM-ECX 400 (日本電子), 固体試料用 (4 mm MAS)プローブ
図4 JNM-ECX 400 (日本電子), 固体試料用 (4 mm MAS)プローブ

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AFMによるCNFの形態観察

 AFMはサブナノメーターレベルでの高精度3D計測が可能であるため、CNFの形態観察に使用されています。図5はTEMPO酸化CNFの希薄水分散液を親水性基板上にキャストし、AFMにより観察した結果です。今回用いたサンプルは白色矢印部の高さプロファイルから、繊維径約3 nmで均一に解繊されていることが分かります。AFM観察ではCNFの分散状態や、長さ、直径の分布を測定可能です。

図5 (a)TEMPO酸化CNFのAFM高さ像 (b)図5 (a)中白色矢印部の高さプロファイル
図5 (a)TEMPO酸化CNFのAFM高さ像
(b)図5 (a)中白色矢印部の高さプロファイル

使用装置

図6 MFP-3D-SA-J (オックスフォード・インストゥルメンツ)
図6 MFP-3D-SA-J (オックスフォード・インストゥルメンツ)

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CNF配合ゴムの引張試験

 天然ゴム (NR)に表面官能基の異なる修飾CNF(CNF (A), CNF (B))を10 phr加えた複合材料を作製し、引張試験により補強性を比較しました。
 引張試験の結果より、CNF (B)配合の方が高いモジュラスを示し、同じ配合部数であってもCNFの表面官能基によって応力-ひずみ曲線が大きく異なることが分かりました。このように、CNFの表面官能基が複合材料の物性に大きな影響を与えることから、複合化するポリマーや用途に合わせたCNFの表面設計が重要となります。

図7 CNF配合天然ゴムの応力-ひずみ曲線
図7 CNF配合天然ゴムの応力-ひずみ曲線

使用装置

図8 精密万能試験機 オートグラフEZ-LX (島津製作所)
図8 精密万能試験機 オートグラフEZ-LX (島津製作所)

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X線回折(XRD)によるCNFの結晶化度測定

 CNFは一般的にセルロースI型結晶を有し、XRD測定により特徴的な回折パターンを示します。これを波形分離することで、結晶由来のピークと非晶由来のピークの回折強度比からCNFの結晶化度を算出できます。

図9 CNFのXRDパターン
図9 CNFのXRDパターン

使用装置

図10 多目的X線回折装置 Empyrean (Malvern Panalytical)
図10 多目的X線回折装置 Empyrean (Malvern Panalytical)