フッ素ゴム(FKM)は、炭素結合からなる主鎖について、水素の位置がフッ素で置換されたポリマーを主成分とするゴム材料です。C-F結合の結合エネルギーがC-H結合と比較して高いことや、ファン・デル・ワールス半径の大きいフッ素原子の存在が主鎖への反応を保護することに起因して、FKMは高い安定性を有しています。
FKMは複数のフッ素系モノマーの共重合体であり、そのモノマーの組合せにより異なる特徴を示すため、用途に応じて適切なポリマーを選択して使用されています。また、架橋剤などの配合剤によって諸物性が変化することから、FKM製品を理解するためには、これらの把握が重要です。
本機構ではFKMの分析に関する長年の知見と、最新の分析技術を活用し、下記の分析を実施しています。
FKMの主鎖構造の一例
項 目 | 分析内容 |
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主鎖の構造解析 | FKMは、フッ化ビニリデン(VDF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)の二元共重合体、VDF/HFP/テトラフルオロエチレン(TFE)からなる三元共重合体が主に用いられています。 特殊グレードとして、その他にパーフルオロビニルエーテルを含むポリマーや、プロピレン/TFEの共重合体などが存在します。 固体19F-NMR法によりモノマー同定及び共重合比の測定を実施します。 <事例紹介> ・固体19F-NMR法によるフッ素ゴムの共重合比の決定 |
ヨウ素、臭素の定量 | FKMは重合合成時にヨウ素を含む連鎖移動剤を含むことや、架橋点としてヨウ素や臭素が導入されています。 燃焼分解イオンクロマトグラフ法によりヨウ素、臭素の定量分析を実施します。 |
項 目 | 分析内容 |
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組成分析 | FKMは有機成分(ポリマー、架橋剤など)と無機成分(カーボンブラック、水酸化カルシウムなど)で構成される複合材料です。 有機・無機成分について定性分析により各配合剤を特定後、それらの比率を求めます。 |
食品衛生法に基づく試験 | 昭和34年厚生省告示第370号「食品、添加物等の規格基準」に従って試験を実施します(一部改正:平成24年厚生労働省告示第595号)。 ・食器の器具及び容器包装 |