結晶性樹脂の結晶化度の受託測定
結晶性樹脂を用いた製品の基本特性である外観品質、機械的強度、寸法安定性、耐熱性を左右する因子の一つとして「結晶化度」が挙げられ、 結晶化度を正確に把握し最適に制御することは、高性能な樹脂製品開発および品質管理に有用です。 当機構では、材料および製品の形状、寸法などに応じて、結晶化度を評価できるさまざまな分析方法を提案します。
結晶化度の測定事例
結晶性樹脂の一つであり、透明容器用途でも広く使用されるポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂について、各種分析手法を用いて結晶化度を測定しました。 試料はPET樹脂をホットプレートでメルトさせた後、急冷させた透明試料(メルト急冷試料)と徐冷させた白濁試料(メルト徐冷試料)をそれぞれ作製しました。
示差走査熱量分析(DSC)法
メルト急冷および徐冷試料の昇温過程におけるDSC測定結果を図1に示します。

メルト急冷試料のDSC曲線では136℃付近に冷結晶化による発熱ピークと、254℃付近に結晶の融解による吸熱ピークが確認され、メルト徐冷試料では254℃付近に吸熱ピークのみ認められます。 これらの発熱および吸熱ピークとPET樹脂の完全結晶の融解熱量(平行融解熱量)から、各試料の結晶化度を算出すると、メルト急冷試料は2%、メルト徐冷試料は34%となりました。
X線回折(XRD)法
メルト急冷および徐冷試料のXRD測定結果を図2に示します。

メルト急冷試料のXRDプロファイルには、結晶由来の回折ピークは認められず、2θ=20°に非晶由来のハローが確認されました。 一方、メルト徐冷試料には結晶由来の複数の回折ピークが認められ、プロファイルフィッティング法によりメルト徐冷試料の結晶化度を算出すると31%となりました。
ラマン散乱法
メルト急冷および徐冷試料のラマンスペクトル測定結果を図3に示します。

メルト急冷試料と徐冷試料のラマンスペクトルを比較すると、メルト徐冷試料では結晶構造に敏感な1095 cm-1および995 cm-1付近のバンドが明瞭に確認されます。 また、1730 cm-1付近のバンドの半値幅とPET樹脂の密度には線形関係があることが知られており、この相関に基づく経験式を用いて結晶化度を算出しました。 その結果、メルト急冷試料は1%、メルト徐冷試料は41%となりました。
まとめ
表1に各種分析方法により算出したPET樹脂のメルト急冷試料とメルト徐冷試料の結晶化度を示します。

いずれの手法においてもPET樹脂をメルト徐冷した白濁試料の結晶化度は、メルト急冷した透明試料よりも高く、30~40%程度となりました。
当機構では、結晶化度を測定したい試料の形状、寸法、重量、組成に応じて適切な手法を提案します。
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