GPCによるグレードの比較

製品不具合の原因となるサイレントチェンジ(原料・グレードの無断変更)を、GPC(SEC)による分子量分布の比較で調査します。グレードの違いや原料ポリマーの推定が可能で、特定ロットのみで生じる不具合の原因究明に有効です。


製品不具合の原因の一つにサイレントチェンジがあります。これは、ポリマーの種類またはグレード、配合、成形条件などを事前に周知せずに変更することを指します。こうした変更が行われた製品は、仕様通りの初期物性または耐久性を満たさない可能性があり、不具合につながることがあります。
特定のロットのみで不具合が発生する場合、原料および製造条件をすべて見直すことが原因究明の鍵となります。ゲル浸透クロマトグラフィー:GPC(あるいはサイズ排除クロマトグラフィー:SEC)は、ポリマーの分子量分布を解析し、グレードの違いを判定できるため、サイレントチェンジが疑われる樹脂製品の不具合原因の調査に欠かせない手法です。当機構では、GPC法を含む複数の手法による総合的な不具合原因調査の受託が可能です。

GPCによるグレードの異なるPVC(ポリ塩化ビニル)の測定事例

グレードの異なる市販のPVCペレット5種をGPCにより分析した結果を図1および表1にそれぞれ示します。

図1 グレードの異なるPVCペレット5点の微分分子量分布曲線
表1 グレードの異なるPVCペレットの平均分子量および多分散度
試料数平均分子量
Mn×10-4
重量平均分子量
Mw×10-5
多分散度
Mw/Mn
Aペレット2.88.73.1
Bペレット7.216.12.2
Cペレット8.619.82.3
Dペレット10.625.62.4
Eペレット12.229.02.4

図1および表1に示す通り、PVCのグレードごとに平均分子量および分子量分布が異なりますので、GPCを測定することにより原料ポリマーのグレードが変更されたかどうかを判定できます。
応用例として、メーカーおよびグレード未知のPVC製品を分析し、上記のBペレットと比較した結果を図2および表2に示します。

図2 Bペレットとグレード未知のPVC製品を比較した結果
表2 Bペレットとグレード未知のPVC製品の平均分子量および多分散度
試料数平均分子量
Mn×10-4
重量平均分子量
Mw×10-5
多分散度
Mw/Mn
Bペレット7.216.12.2
未知試料7.415.72.1

未知試料とBペレットを比較すると、微分分子量分布曲線が類似しており、また、平均分子量も非常に近い値となっています。この結果から、未知試料の原料にはBペレットと近いグレードのペレットが使用されていることがわかります。このように、GPCは使用されているポリマーのグレードの推定に使用することもできます。

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