ICH M7ガイドライン(潜在的発がんリスクを低減するための医薬品中 DNA 反応性(変異原性)不純物の評価および管理)は医薬品中の変異原性不純物の評価、管理に関するガイドラインです。本ガイドラインは国内で2015年11月10日に発出され、日、米、EU三極での医薬品中不純物の評価・管理に関する事業者義務が発生しています。
CERIではICH M7対応支援として以下のようなメニューを揃えています。
ICH M7対応ならCERI
ICH M7ガイドラインにおける不純物管理の概要
ICH M7ガイドラインでの変異原性は、主に細菌を用いる復帰突然変異試験(以下、Ames試験)の結果により評価されます。不純物をクラス1~5に分類し、それぞれのクラスに対応した管理措置を行う必要があります。
| クラス | 定義 | 管理方法 |
|---|---|---|
| 1 | 既知の変異原性発がん物質 | 化合物特異的な許容限度値以下で管理 |
| 2 | 発がん性不明の既知の変異原性物質(細菌を用いる変異原性試験で陽性であり、げっ歯類の発がん性データがない物質) | 許容限度値(適切な TTC*)以下で管理 |
| 3 | 警告構造を有し、原薬の構造とは関連しない警告構造であり、変異原性試験データが存在しない物質 | 許容限度値(適切な TTC*)以下で管理、 または細菌を用いる変異原性試験を実施 |
| 4 | 警告構造を有するが、試験がされ変異原性がないことが示されている原薬または原薬に関連する化合物(工程中間体など)と同じ警告構造である物質 | 非変異原性不純物としての取り扱い |
| 5 | 警告構造を有しないか、または警告構造を有するが、変異原性もしくは発がん性のないこと示す十分なデータが存在する物質 | 非変異原性不純物としての取り扱い |
*毒性学的懸念の閾値 (Threshold of Toxicological Concern) 1.5 µg/人/日
(Q)SAR モデルによる変異原性予測およびクラス分類
ICH M7ガイドラインにおける評価において、Ames試験および発がん性試験の情報がない場合、互いに相補的な2種類の(Q)SAR(知識ベース、統計ベース)による変異原性予測を用いることが推奨されています。これらの予測結果において警告構造1)がないことが示されれば、その不純物は非変異原性不純物とすることができ、更なる試験を実施する必要がありません。
CERIでは2種類の(Q)SARによる変異原性予測およびクラス判定を実施します。
1) 警告構造:変異原性発現に寄与する部分構造
| 知識ベース | 統計ベース |
|---|---|
| Derek Nexus* | Sarah Nexus |
| CASE Ultra (GT EXPERT) | CASE Ultra (GT1 BMUT)* |
| Leadscope Model ApplierTM | |
* ICH M7対応において最も汎用されているツールの組み合わせ
ICH M7ガイドラインにおける(Q)SARを用いた評価の注意点
(Q)SARツールは、経済協力開発機構(OECD)の(Q)SARバリデーションの一般原則2)に従うこととされています。
(Q)SARツールはバージョンアップにより予測結果が変わる場合があるため、最新のバージョンで結果を確認することが推奨されます。
CERIでは上記に対応した不純物の変異原性評価を実施します。
2)(Q)SARモデルの限界性や信頼性を考慮する際に留意すべき事項について、OECDが2007年に公表している5つの基本原則。
変異原性予測結果に対するエキスパートジャッジメント
複数のモデルを用いた際に予測結果が異なる場合や、予測ができない場合などには、専門知識を用いたレビュー、いわゆるエキスパートジャッジメントを行うことができます。エキスパートジャッジメントにより、(Q)SARの予測結果が陽性であっても、総合的な判断に基づき陰性の評価結果となる場合があります。CERIでは毒性専門家(日本毒性学会認定トキシコロジスト等)によるエキスパートジャッジを実施しています。

エキスパートジャッジメントに含まれる評価
- 変異原性の発現メカニズムに基づく類似性などの評価
- 予測の根拠となった例証物質のAmes試験の信頼性評価
既存情報調査(変異原性および発がん性)
ICH M7対応では、既存の情報がある場合は、(Q)SARやAmes試験を実施せずに不純物のクラス分類が可能な場合があります。CERIでは、既存の公開情報を網羅的かつ効率的に収集できる体制を整えています。国際機関等の評価書、学術論文、書籍、データベース等の情報源を調査し、Ames試験データ、発がん性データについて信頼性含め精査の上、変異原性および発がん性評価を実施し、不純物のクラス判定を実施します。
オンサイトセミナー
講師を派遣し、ICH M7ガイドラインの要求内容の解説、個別の説明等を行います。
ICH M7ガイドライン 化合物特異的な許容摂取量の算出
発がん性試験の情報がある場合、化合物特異的な許容摂取量(Acceptable Intake; AI等)の算出を承ります。AI等の算出により管理濃度を毒性学的懸念の閾値 (Thresholds of Toxicological Concern;TTC) より高い値に設定できる場合があります。