抵抗特性試験

材料に電圧や電流を印加し、得られた電気特性値から抵抗率を求めます。材料の導電性に応じて複数の測定手法を使い分け、導体から絶縁体まで幅広い材料に対応します。


二重リング電極法(二端子法)

半導体〜絶縁体領域(101〜1016 Ω)の材料における電気の通しにくさ(電気抵抗)を評価します。
(導体〜半導体は4探針電極法、半導体は平行端子電極法を参照)

概要

抵抗率が広範囲にわたる、半導電材料から絶縁材料の測定に適する二端子法を用いた測定方法です。材料に電極を設置し、電極に電圧を印加、その時の電流を測定します。電圧および電流、試料寸法から抵抗率を求めます。

試験詳細

対応規格

  • JIS K 6271-1「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム−電気抵抗率の求め方−第1部:二重リング電極法」
  • JIS K 6911「熱硬化性プラスチック一般試験方法」
  • ASTM D 257「Standard Test Methods for DC Resistance or Conductance of Insulating Materials」 他

JIS K 6271-1の場合

試験片内部の電流の流れにくさを表す体積抵抗率と、試験片表面の電流の流れにくさを表す表面抵抗率を求めることができます。それぞれの測定回路を図1に示します。試験片(図1c、厚さ0.5 mm〜5.0 mm)の上下に電極を密着、固定させます。体積抵抗率測定の場合は主電極(図1a)と対向電極(図1d)間(リング電極(図1b)はガード電極)、表面抵抗率測定の場合は主電極(図1a)とリング電極(図1b)間(対向電極(図1d)はガード電極)に規定の電圧を印加し、規定時間(1分間)経過後の電流(図1e)を測定します。得られた電流値から、次の計算式により体積抵抗率または表面抵抗率を算出します。

図1 体積抵抗率(左)および表面抵抗率(右)の測定回路図
体積抵抗率 ρv(Ω・m)
表面抵抗率 ρs(Ω)

Rv:体積抵抗(Ω) Rs:表面抵抗(Ω)
A:主電極の有効面積(m2)・・・フリンジング効果を考慮した面積を用いる
D1:主電極の外径(m)  D2:リング電極の内径(m)  h:試験片の厚さ(m)
V:印加電圧(V)  Iv:体積抵抗測定時の電流(A)  Is:表面抵抗測定時の電流(A)

図2 二重リング電極模式図
図3 電極チャンバー

温湿度制御型電極チャンバー(図4)を用いることで実使用環境を想定した温度および湿度雰囲気下での測定も可能です(温度−40℃〜180℃、湿度30%RH~95%RH、詳細はご相談ください)。

図4 電極チャンバー(温湿度制御型)

測定事例

ポリアミド(PA)は高い耐久性、電気絶縁性を有することから電子部品として使用されます。PAには複数の種類があり、代表的なものとして、図5に構造を示すPA6および植物由来のPA11が挙げられます。これら2種のPAについて、湿度条件を変化させて体積抵抗率を測定しところ、PA6では30%RHから80%RHへの湿度の増加に伴い体積抵抗率の顕著な低下が認められた一方、PA11では高湿度条件においても高い電気絶縁性を保つ結果となりました(図6)。この差異は、高分子主鎖中に存在する親水性の高いアミド基(-CONH-)の割合に由来すると考えられます。
PA6とPA11のように、類似の材料であっても測定条件によって性能に大きな差が生じ得るため、温度および湿度条件を変動させた試験の実施は、材料変更に伴う新旧材料の性能比較、または実使用環境に即した条件下での性能把握に寄与します。

図5 PA6およびPA11の構造式
図6 異なる湿度条件における2種のPAの体積抵抗率

平行端子電極法(四端子法)

半導体領域(10-1〜108 Ω)の材料における電気の通しにくさ(電気抵抗)を評価します。
(半導体〜絶縁体は二重リング電極法、導体〜半導体は4探針電極法を参照)

概要

導電率が高く、二端子法では接触抵抗など界面の影響を受ける材料の測定に適する四端子法を用いた測定方法です。材料の両端に電流(導入)電極、中央部に電位差(測定)電極を設置し、電流と電圧を測定します。電流および電圧、試料寸法から抵抗率を求めます。

試験詳細

対応規格

  • SRIS 2301「導電性ゴムおよびプラスチックの体積抵抗率試験方法」
  • ASTM D 991「Standard Test Method for Rubber Property-Volume Resistivity Of Electrically Conductive and Antistatic Products」

試験概要(SRIS 2301)

短冊状試験片の両端に電流電極が平行になるように設置し、電流の流れに直角になるように電位差電極を平行に設置します。通電開始より1分間経過後の電位差を測定します。得られた電位差から次の計算式により体積抵抗率を算出します。

体積抵抗率 ρ(Ω・m)

R:実測抵抗値(Ω) E:電圧電極にかかる電圧(V) I:試験片中を流れる電流(A)
L:電圧電極間の幅(cm) A:試験片の断面積(cm2)
W:試験片の幅(cm) T:試験片の厚さ(cm)

試験機仕様

電位差電極間距離60 mm(固定)
電流電極間距離100 mm(固定)
通電電流10 nA 〜 100 mA
図1 試験機外観
図2 電極外観

4探針電極法(4探針法)

導体〜半導体領域(10-3〜107 Ω)の材料における電気の通しにくさ(電気抵抗)を評価します。
(半導体〜絶縁体は二重リング電極法、半導体は平行端子電極法を参照)

概要

四端子法と同等の原理を用い、材料への電極作製が不要でさまざまな形のまま測定可能といった特徴をもつ4探針法を用いた測定方法です。4本の針状電極を材料表面に設置し、電流と電圧を測定します。電流および電圧、試料寸法、補正係数から抵抗率を求めます。

試験詳細

対応規格

  • JIS K 7194「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」

試験片(標準寸法80 mm×50 mm×厚さ20 mm以下)に4本の針状電極を有するプローブを設置し、外側2本の針状電極に一定電流を流し、内側2本の針状電極で電位差を測定します。測定位置により規定される補正係数および得られた電位差より求められる抵抗から次の計算式により抵抗率を算出します。

抵抗率 ρ(Ω・cm)

F:補正係数 t:試験片の厚さ(cm)  R:抵抗(Ω)

標準寸法以外または標準測定位置以外の場合は補正係数を計算により別途算出します。

試験機仕様

試験機名称(株)三菱化学アナリテック製 低抵抗計ロレスターGP MCP-T610
電極装置(株)エーディーシー製 4探針プローブ(6種から用途により選択)
図1 試験機外観
図2 電極(標準プローブ)外観

4探針プローブ

標準プローブ不均一サンプル用柔らかいサンプル用
JIS K 7194対応
ピン間 5 mm 
ピン先 Φ0.37 mm
ばね圧 210 g
ピン間 5 mm
ピン先 Φ2.0 mm
ばね圧 240 g
ピン間 5 mm
ピン先 Φ2.0 mm(球形)
ばね圧 130 g
小さいサンプル用(薄膜用)極小サンプル用大きいサンプル用
ピン間 1.5 mm
ピン先 Φ0.26 mm
ばね圧 70 g
ピン間 1.5 mm
ピン先 Φ0.26 mm
ばね圧 70 g
ピン間 2.2 mm
ピン先 Φ0.37 mm
ばね圧 210 g

(カタログより抜粋)

問い合わせ先

その他、お客様のご要望に応じて試験規格とは異なる条件での評価も可能です。また、原材料からの試験片成形、製品試料から切削加工による試験片作製も対応しています。お問い合わせフォームまたはお電話でお気軽にご連絡ください。

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TEL:06-6744-2022 (大阪事業所 技術第一課)

担当部門:高分子技術部門

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