トラッキング劣化試験

電圧をかけた試験片に電解液を滴下し、微小放電による炭化導電路の形成(トラッキング)への耐久性を評価します。保証トラッキング指数(PTI)や比較トラッキング指数(CTI)を測定し、JIS C2134(IEC 60112)に準拠します。


絶縁材料の表面近傍での繰り返し微小放電に伴う炭化導電路(トラック)形成による損傷(トラッキング)に対する耐久性の評価を行います。

試験片表面に電位差および湿潤汚損がある場合、表面漏れ電流によるジュール熱が発生します。その熱により湿潤汚損箇所が部分的に乾燥し導電路が分断され、局部的な微小発光放電(シンチレーション)を生じ、やがてはトラッキング破壊に至ります。電界液滴下法は電解液を用いてトラックの発生を誘導する方法で、規定の滴下数でトラッキング破壊しない電圧を求めることで評価します。

試験詳細

対応規格

  • JIS C 2134「固体絶縁材料の保証および比較トラッキング指数の測定方法」(IEC 60112)
  • DIN 53480「Specification for electrical tests of insulating materials; Resistance to tracking」 KA法
  • ASTM D 3638「Standard Test Method for Comparative Tracking Index of Electrical Insulating Materials」

試験概要(JIS C 2134)

平らな表面を有する試験片(厚さ3 mm以上、20 mm×20 mm以上)に電極を設置し、電極間に交流電圧を印加、電解液を30〜40 mm の高さから滴下します。トラッキング破壊※および持続炎の発生、または規定の滴下数に到達するまで測定を継続します。

試験片(電極間)に0.5 A以上の電流が2秒以上流れた場合と規定

保証トラッキング指数(PTI)

指定電圧において5個の試験片すべてが50滴の測定に耐えうるか評価します。

比較トラッキング指数(CTI)

5個の試験片すべてが50滴および100滴の測定に耐える最高電圧を測定します。

ある測定電圧で5個の試験片のうち一つが破壊した場合、5個1組の新しい試験片で測定します。これら10個のうち1個だけが破壊しただけの場合はその測定電圧で”合格”とします。

試験機仕様

試験電圧100〜600 V
電極幅5 mm×厚さ2 mm、先端角30°(JIS C 2134) または60°(DIN 53480) 、白金製等
電解液0.1 wt%塩化アンモニウム水溶液(JIS C 2134 A液)
0.5 wt%ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル + 0.2 wt%NH4Cl混合水溶液(JIS C 2134 C液)
その他電解液をご希望の場合は別途相談
図1 試験機外観
図2 試験状況(シンチレーション)

測定事例|電解液によるCTIへの影響

JIS C 2134規定の電解液A液とC液を用いたCTI測定(50滴測定の最高電圧値)の結果を表1に示します。C液はA液よりも強力な汚染物質です。A液での測定では、PVCとABSはCTI600V以上と同様の結果になり、どちらが耐トラッキング性に優れているか判断できません。しかし、C液で測定することにより、PVCのCTIはABSよりも高いことから耐トラッキング性に優れていることがわかります。

表1 樹脂材料の電解液によるCTIへの影響
測定試料電解液
A液C液
PE(フェノール樹脂)CTI 175CTI 150 C
PBT(ポリブチレンテレフタレート樹脂)CTI 125CTI 125 C
ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂)CTI 600CTI 375 C
PVC(塩化ビニル樹脂)CTI 600CTI 600 C
PE(ポリエチレン)CTI 600CTI 600 C

浸食深さや試験中の漏れ電流の測定、ご要望に合わせた特殊な条件についてのお打ち合わせも可能です。お問い合わせフォームまたはお電話でお気軽にご連絡ください。

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