受託解析内容
概要/特徴
概要
当機構では、統計的手法を用いて、お客様のマイクロアレイデータから特徴的な発現変動を示す遺伝子を探索する受託解析サービスを御提供しています。当解析には主にAgilent社の遺伝子発現解析ソフト”GeneSpring GX”を使用しており、論文等で使用されるさまざまな解析手法に対応可能です。

特徴
当機構の受託解析サービスの特徴は以下のとおりです。
- 事前の十分なヒアリング
お客様の研究目的や実験系などをお聞きし、Discussionを行いながら解析プランを組み立てます。 - 適切なプランニング
必要な解析ステップおよびアルゴリズムを選定し、データ解析全体をプランニングします。 - 解析プランに沿ったお見積書の提示
解析プランの各ステップで必要な費用を算出して、お見積書を作成します。
| 目的 | 項目 | 方法 |
|---|---|---|
| 遺伝子発現データ間の類似性を比較する。 | 相関性解析 | スキャッタープロット、相関係数 等 |
| 統計的に有意に変動する遺伝子を抽出する。 | 変動遺伝子選定 | Fold Change、有意差検定 等 |
| 遺伝子の発現変動パターンが類似するデータを探索する。 | クラスター解析 | 階層的クラスタリング、k-means 等 |
| 条件の異なる複数のデータ間で変動する遺伝子の重なりを調査する。 | ベン図解析 | ベン図 |
| 未知のデータを判別する式を構築する。 | 予測モデル構築 | 決定木、サポートベクターマシン 等 |
| 選定した遺伝子の機能を調査する。 | 遺伝子機能解析 | GO解析、GSEA解析 等 |
⇒上記はあくまでも一例です。ご希望の解析方法がございましたらご相談ください。
サービス内容
お問い合わせから納品までの流れは下図のようになります(ご依頼内容によっては、若干異なる場合があります)。

| 1) 解析プランのご提示 | お客様のデータ解析目的に応じたプランニングを行います。 |
|---|---|
| 2) お見積書の作成 | 解析プランに沿ったお見積書をご提示します。 |
| 3) お客様からのデータファイルの送付 | 遺伝子ID、発現量(比)、p値などを含んだファイル(TextもしくはExcel形式)をご送付ください。 |
| 4) データ解析 | 事前にデータの品質チェックを行ったうえで、データ解析を実施します。 |
| 5) お客様への解析データ納品 | 報告書とともに各種データをお送りします。 |
必要に応じてお客様とのDiscussionを行います。
納品物/納期
報告書(印刷物)以外に以下のデータを電子ファイルとして納品します。なお、報告書の記載内容には目的、方法、結果(考察)を含みます。
| 納品物 | (1)試験報告書(PDFファイル) (2)画像ファイル(TIFF形式) (3)各解析結果出力ファイル(Excelおよびテキスト形式) |
|---|---|
| 納期 | お問い合わせください。 (ご依頼内容およびご依頼時期によってお決めします。) |
価格
本解析の価格に関しましては、当機構までお問い合わせください。
お問い合わせ先はこちら。
お申し込み方法
- ご依頼の目的など、こちらのフォームより可能な限り詳しくお知らせください。具体的な解析内容については、お客様とご相談の上決定させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。
- その他一般的なご依頼・ご相談手順についてはこちらをご覧ください。
- ご相談の内容に基づき、費用・納期等をお知らせします。
- お見積もり内容にご承諾いただけましたら、契約手続きに入らせていただきます。
解析項目について(説明)
主な解析項目について、以下のとおり内容を説明します。
相関性解析
同一グループ内(投与群、対照群等)のマイクロアレイデータを相関性解析で比較することで、実験的な誤差により傾向の異なるデータを検出することができ、このようなデータは以後のデータマイニングに悪影響を及ぼす可能性があるため、必要に応じてデータの除外を行います。

変動遺伝子群の抽出
Fold change、有意差検定(t検定, ANOVA)などの方法を用いて、薬剤の投与などで特異的な発現変動を示す遺伝子を抽出します。有意差検定を実施する場合には一定数以上のデータ数を確保する点に注意する必要があります。

クラスター解析
階層的クラスタリング、k-means等の手法を用いて、発現変動パターンが類似する遺伝子群およびデータ群を探索します。あらかじめ特徴遺伝子抽出を行ったデータを適用することで、解析のノイズとなる様なデータが除外され、より明確なクラスター解析結果を示す傾向があります。

ベン図解析
複数の実験条件間で特徴的な変動を示す遺伝子リストを比較し、複数の条件で共通して変動する遺伝子、または特定の条件で特異的に変動する遺伝子を選定します。

予測モデル構築
決定木、サポートベクターマシン、ニューラルネットワーク等の手法を用いて、未知のデータのクラス(例:発がん性の有無など)を予測するための予測モデルを構築します。予測モデルの構築は、他の解析に比べて豊富なデータ数を必要としますので、ご要望の際には動物実験もしくはアレイ実験を含めてご相談いただくことをお勧めします。

遺伝子機能解析
GO (Gene Onthology)解析、GSEA*解析等の手法を用いて、特徴遺伝子抽出等で選定された遺伝子セットの機能に関する情報を得られます。この解析結果は取得した遺伝子発現プロファイルの生物学的な解釈の一助として活用いただけます。
*Gene Set Enrichment Analysisの略.
各実験の表現型と遺伝子発現変動との関連性を解析する.

データ解析例
解析例(1)
ここでは、下記の条件で動物試験(SDラット)を行った後、肝臓を摘出してマイクロアレイによる網羅的な遺伝子発現解析を行った解析例についてお示しします。なお、本データは当機構で独自に行っているトキシコゲノミクス研究の一環で取得したものです。
実験条件
| 動物種 | Crlj:CD (SD)ラット ラット 雄 |
|---|---|
| 投与 | 28日間反復投与 |
| 群構成 | 媒体対照群、投与群 (1群3匹) |
| 臓器 | 肝臓 |
| 試験物質 | 2,4-Diaminotoluene(変異発がん物質)、2,6-Diaminotoluene(変異非発がん物質) |
| 媒体 | 精製水 |
| マイクロアレイ | Rat Genome 230 2.0 (Affymetrix) |
*;ここで用いている「変異」とはAmes試験で陽性と判定されたものを指します。
解析結果
(1) 相関性解析
2,4-Diaminotoluene(2,4-DAT)、2,6-Diaminotoluene(2,6- DAT)の各投与群ならびに各媒体対照群の同一群内のマイクロアレイデータについて総あたりの相関性解析を行いました。その結果、すべての比較結果について相関係数(r)は0.99以上を示し、傾向の異なるデータは含まれていませんでした。結果の代表例として2,4- DATの結果を図1に示しました。

(2) クラスター解析
それぞれの群の遺伝子発現パターンの類似性をみるために全12データを用いてクラスター解析を行いました。全検体でPまたはMフラグを示した14,109プローブを用いてクラスタリングを行った結果、2,6-DAT以外は同じ群のデータでクラスターを形成しました(図2)。また、2,6-DATの3個体目のデータはクラスターを形成しませんでしたが、1個体目と2個体目の近くに位置していました(図2)。これは、2,6-DATの投与による変動が媒体対照群の変動に近いことが考えられました。

連結法:Average, 距離関数:Pearson Uncentered
遺伝子数: 14,109
(3) 変動遺伝子群の抽出
2,4-DAT、2,6-DATそれぞれ投与群の平均値のシグナル値を、溶媒対照群の平均値で割ることで発現比(投与群/対照群)を算出しました。さらに、2,6-DATに比べて2,4-DATの投与で発現比が1.5倍以上、もしくは0.67倍以下変動する遺伝子を選定しました。その結果、2,6-DATに対して1.5倍以上変動した遺伝子数は694種類、0.67倍以下変動した遺伝子数は484種類でした(図3)。

0.67倍以下(青線; 484遺伝子)変動した遺伝子のグラフ
(4) GO (Gene Ontology)分類
2,6-DATに対して1.5倍以上変動した694遺伝子と0.67倍以下変動した484遺伝子のGO解析を行った結果、細胞周期の制御(図4)や細胞死に関連する機能(図5)を有する遺伝子が変動していることがわかりました。

