耐候性試験

太陽光の劣化因子を再現する各種の促進耐候性試験機で、屋外暴露より短時間に耐候性を評価します。サンシャイン・キセノン・紫外線カーボンなど多様な光源を備え、試験前後の物性・色・光沢度・外観・表面分析まで対応します。


耐候性とは

製品は長時間の使用により経年劣化が起こります。劣化に寄与する因子は複数存在します。
代表的な劣化因子として、太陽光(主に紫外線)、気温差、降雨や結露による水分、オゾン、海岸地域での塩分による腐食が挙げられます。これらの劣化に対する抵抗性は耐候性と定義され、材料の選定、寿命を予測するうえで重要な評価項目です。

長期間の使用で経年劣化が進んだ看板

促進耐候(光)性試験機

耐候性は光・オゾンなど劣化因子を特化させた促進耐候(光)性試験機により、実環境における曝露試験よりも短時間で評価可能です。多種類の光源および試験機と豊富なオプションを取り揃えていますので、JISやISOをはじめとする多くの産業規格、建築、自動車業界などの団体規格の試験も承ります。
試験前後での物性(引張・硬さ試験など)・色・光沢度・外観(目視、ルーペ、マイクロスコープ等)をはじめとする各種評価についても承ります。
試験目的に合わせて最適な試験機や条件を提案いたしますので、まずはメールフォームよりご相談ください。

屋外曝露と耐候性試験機の比較※

グラフ:太陽の放射露光量:4500 MJ/m2 (日本国内主要都市における太陽の放射露光量の平均値(JIS D0205解説より抜粋))、全太陽放射に含まれる紫外線(295~400 nm)の割合:6.8 % (CIE公報85より抜粋)として計算。

光以外の劣化要因や試験機の光源の分光組成などが試験結果に影響を与えますので、あくまでも試験機を選ぶ際の目安としてお考えください。

サンシャインウェザーメータによる耐候性試験

サンシャインカーボンアーク灯は、古くから国内外で広く用いられている耐候性評価用光源です。自動車、建築関連をはじめ多くのJIS規格や団体規格に規定されており、長年にわたり蓄積されたデータが豊富であることから、現在でもさまざまな製品の評価に用いられています。
試験手順、①試料をパネルに固定し、試験装置内に取り付けます。②ブラックパネル温度(BPT)(暗黒時は試験槽内温度)、③水の付加を設定します。④暴露処理後の外観観察、色差測定、強度測定、表面分析等の評価試験を行います。

装置内部

仕様

型式S80HB、S80B (スガ試験機株式会社)
パネルサイズ150 mm×70 mm
パネル数66枚(33列×2段)
放射照度255 W/m2(波長:300 nm~700 nm)
ブラックパネル温度(BPT)63 ℃~95 ℃(S80HB)
63 ℃(S80B)
湿度30~70±5 %RH(BPT63 ℃時)
保有台数5台

試料取り付け例

その他、製品形状や大型の試験片も対応できます。ご相談ください。

複数台保有していますので各種規格に迅速な試験対応が可能です。またBPT83℃にも対応します。

主な対応規格

建築部品JIS A 1415
JIS A 6008
JIS A 6021
自動車部品JIS D 0205(WAN-1S)(WAL-1S)
鉄道部品JIS E 1203
加硫ゴムJIS K 6266
プラスチックJIS K 7350-4

紫外線オートフェードメータによる耐光性試験

衣類や靴などの繊維製品、自動車の内装材は太陽光に長時間暴露されると変色や退色が生じることがあります。紫外線カーボンアーク灯は耐候性試験の光源の中で最も歴史が古く、紫外線領域に高強度の分光分布をもつ試験機で、紫外線は強力なエネルギーを有するため、この光源を用いることで変褪色の評価が短時間で可能となります。変褪色はグレースケール法、色差計により判定します。また、青色標準染布を用いたブレ―スケール法にも対応します。
試験手順、①試料をパネル(65mm×110mm)に固定し、試験装置内に取り付けます。②ブラックパネル温度(BPT)と湿度を設定します。③暴露処理後、変退色の他に強度測定、表面状態等の分子構造変化までの評価試験もご対応可能です。

装置内部

仕様

型式U48AUH(スガ試験機株式会社)
パネルサイズ65×110 mm
パネル数51枚(17列×3段)
放射照度500 W/m2(波長:300 nm~700 nm)
ブラックパネル温度(BPT)63 ℃~95 ℃
湿度35~50±5 %RH(BPT63 ℃時)

試料取り付け例

その他、製品形状や大型の試験片も対応できます。ご相談ください。

染色堅牢度試験(JIS L 0842 第三露光法)も実施しています。

主な対応規格

建築部品JIS A 1415
自動車部品JIS D 0205
繊維JIS L 0842

キセノンウェザーメータによる耐候性試験

キセノンアーク灯は、有機材料の劣化に大きく起因する紫外線領域の波長分布が太陽光に近似しており、ISOやJISなどの工業規格にも規定されている光源です。また、太陽光に近い放射照度(60 W/m2(波長:300~400 nm))から3倍の放射照度(180 W/m2(波長:300~400 nm))に設定することで、高エネルギーでの条件設定が可能となります。
試験手順、①試料をパネルに固定し、試験装置内に取り付けます。②屋外、屋内用のフィルタ③ブラックパネル温度(BPT)(暗黒時は試験槽内温度)、④水の付加を設定します。⑤暴露処理後の外観観察、色差測定、強度測定、表面分析等の評価試験を行います。

装置内部

仕様

型式SX2D-75、NX75(スガ試験機株式会社)
パネルサイズ150 mm×70 mm
パネル数48枚(16列×3段)
放射照度60 W/m2~ 180 W/m2
(波長:300 nm~400 nm)(SX2D-75)
40 W/m2~ 120 W/m2
(波長:300 nm~400 nm)(NX75)
ブラックパネル温度(BPT)50 ℃~95 ℃
湿度50~60±5 %RH(BPT63 ℃時)
保有台数5台

試料取り付け例

その他、製品形状や大型の試験片も対応できます。ご相談ください。

フィルタの種類

使用用途アウターフィルタインナーフィルタ
屋外#295石英
#275
屋内#320

複数台保有していますので各種規格に迅速な試験対応が可能です。

主な対応規格

ゴムJIS K 6266, ISO 4665
プラスチックJIS K 7350-2, ISO 4892-2
塗料JIS K 5600-7-7, ISO 16474
建築JIS A 1415, ISO 11431
繊維JIS L 0891, JIS L 0843
ISO 105-B-02, ISO 105-B-04, ISO 105-B-06
非鉄金属ASTM G155
電気,電子IEC 60068-2-5
自動車JIS D 0202, JIS D 0205
JASO M 346, JASO M351
SAE J 2412, SAE J 2527

試験・評価例

ポリプロピレン(PP)のキセノンウェザーメータによる耐候性評価

耐候性試験条件

条件放射照度(W/m2)BPT(℃)※
① 光なし―63
② 光なし+熱促進―83
③ 基準条件6063
④ 熱促進6083
⑤ 光促進18063
⑥ 光促進+熱促進18083

ブラックパネル温度

劣化評価

フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を用いて、暴露面の化学構造解析を行った結果、図1に示す通り、酸化劣化によって1720 cm-1のカルボニル基由来のピークが検出されました。

図1 FT-IRによる吸収スペクトル

カルボニル基由来のピークと劣化に関与しない1458 cm-1のC-H変角振動のピーク強度を用いて、カルボニルインデックスを算出し、劣化指標としました。

図2 FT-IRの結果から算出したカルボニルインデックス

図2に示す通り、暴露時間の経過に伴って、酸化劣化が進行していることがわかります。特に⑥光促進+熱促進では他に比べて劣化が著しく、光と熱による相乗効果が生じています。
また、材料を評価するうえで硬さや引張強さ・伸びなどの物性評価は欠かせない項目です。ここでは、シャルピー衝撃試験を行い、衝撃強さの変化を評価しました。

図3 シャルピー衝撃試験

図3に示す通り、FT-IRの結果同様、暴露時間の経過に伴って衝撃強さも低下していることがわかります。これは、酸化劣化により暴露面に脆化層を形成したため、応力集中が生じ、衝撃吸収効果が低下したと推察されます。
そのほか色測定や光沢度測定などの外観変化、マイクロスコープや走査電子顕微鏡(SEM)による表面形態変化などさまざまな分析機器・評価装置を用いて多角的に劣化評価を行うことが可能です。
この例のように耐候性試験は、放射照度・温度・水噴霧の有無によって劣化度合いや挙動が大きく異なるため、目的に合わせた暴露条件を設定することが重要です。目的や用途によって、こちらから条件をご提案できることもあります。お気軽にお問い合わせください。

参考文献)飯塚智則;大武義人;田中敬二,材料,2017,66,238

キセノンウェザーメータ+過酸化水素噴霧ユニットによる耐候性試験

本装置は、キセノンランプによる光照射と過酸化水素水の噴霧(HEシステム)を組み合わせたものです。二酸化チタンを顔料とした白色塗膜など、二酸化チタンの光触媒作用で高活性なラジカルや過酸化物を生成することに着目した超促進劣化試験機です。
試験手順、①試料をパネルに固定し、試験装置内に取り付けます。②屋外、屋内用のフィルタ、③ブラックパネル温度(BPT)(暗黒時は試験槽内温度)、④水の付加(過酸化水素水、イオン交換水)を設定します。⑤暴露処理後の外観観察、色差測定、強度測定、表面分析等の評価試験を行います。

装置内部

仕様

型式ATLAS Ci4000(株式会社東洋精機製作所)
パネルサイズ150 mm×70 mm
パネル数65枚
放射照度30 W/m2~160 W/m2(300 nm~400 nm)
狭帯域340、420 nmでも制御可能
ブラックパネル温度(BPT)40 ℃~110 ℃
実使用に近い温度環境
湿度10~75 %RH(照射時)
広範囲で高精度の制御が可能

試料取り付け例

その他、製品形状や大型の試験片も対応できます。ご相談ください。

フィルタの種類

使用用途アウターフィルタインナーフィルタ
屋外「S」ボロシリケイト「S」ボロシリケイト
屋内ソーダライム
強エネルギー「CIRA」ボロシリケイト
太陽光近似石英Right-light®

光照射と過酸化水素水の噴霧による塗膜や高分子材料の評価にも対応します。

主な対応規格

ゴムJIS K 6266, ISO 4665
プラスチックJIS K 7350-2, ISO 4892-2
塗料JIS K 5600-7-7
建築JIS A 1415
繊維JIS L 0891, JIS L 0843
ISO 105-B-02, ISO 105-B-04, ISO 105-B-06
非鉄金属ASTM G151, ASTM G155
電気,電子IEC 60068-2
自動車JIS D 0205, JASO M 346
SAE J 1885, SAE J 1960
Ford FLTM BO116
Peugeot/Citroen D27
VW PV 1303, VW PV1306
VW PV 3929, VW PV3930

試験・評価例

アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)の超促進耐候性評価

本試験に用いたキセノンウェザーメータは、高分子材料の顔料に含まれる酸化チタンの光触媒作用を活性化させる過酸化水素水(H2O2)を噴霧することが可能です。そのため、酸化チタンを主顔料とした塗料や塗膜の評価に有効であることが実証されています。一方で樹脂やゴム材料への有効性については実証されていないため、以下の評価を実施しました。

耐候性試験条件

条件H2OH2O2
BPT※63 ℃
放射照度60 W/m2 (300~400 nm)
フィルターインナー:タイプSボロシリケイト
アウター:タイプSボロシリケイト
噴霧条件および噴霧水の種類120分間照射中 18分間噴霧
脱イオン水1.0 wt%過酸化水素水
暴露時間600時間

ブラックパネル温度

劣化評価

走査電子顕微鏡 (SEM)を用いて、暴露面の形態観察を行った結果を図1に示します。噴霧水が脱イオン水では変化はありませんでしたが、1.0 wt%過酸化水素水では数 μmの亀裂が多数確認されました。

図1 SEMによる表面形態観察
未処理脱イオン水1.0wt%過酸化水素水

より微小領域かつ深さを含めた3次元的な観察に最適な原子間力顕微鏡(AFM)を用いて表面形態の観察を行いました。AFM測定では、表面粗さ(算術平均粗さRa)を求めることができるため、表面の凹凸を定量的に評価することが可能です。

図2 AFMによる表面形態観察および算術平均粗さ(Ra値)
未処理脱イオン水1.0wt%過酸化水素水

塗膜や塗料だけでなく、ABSにおいても図1および図2のように表面状態に差異が認められたため、過酸化水素水噴霧による耐候性試験はABSにも有効です。
そのほかフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)や電子マイクロアナリシス(EPMA)による表面分析、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による分子量や分子分布測定などさまざまな分析機器・評価装置を用いて多角的に劣化評価を行うことが可能です。
耐候性試験においては、放射照度・温度・水噴霧の有無や種類によって劣化度合いや挙動が大きく異なるため、目的に合わせた暴露条件を設定することが重要です。目的や用途によって、こちらから条件をご提案することも可能です。お気軽にお問い合わせください。

全昼光型メタルハライドランプウェザーメータ

本装置は、国内メーカーが市販している超促進型メタルハライドランプと異なり、国内外で市販されているすべての光源の中で最も太陽光に近似した波長分布と演色性を有するランプを搭載した試験機です。紫外線だけでなく、可視光線、赤外線の波長範囲においても太陽光に近似した放射照度を有していることが特徴です。広範囲で精度の高い温湿度設定ができることから、従来の耐候性試験機と比べ、より実使用環境下に近い評価が可能です。
試験手順、①試料を試験装置内に静置(平置き)します。②屋外、屋内用のフィルタ、③放射照度、④試験温度(試験槽内温度制御)、⑤湿度を設定します。⑥暴露処理後の外観観察、色差測定、強度測定、表面分析等の評価試験を実施します。
装置内部が他装置と比べ広いことから、比較的大型な製品形状での試験にも対応可能です。

装置内部

仕様

型式ATLAS SEC600(株式会社東洋精機製作所) 
照射面積3000 ㎝2
放射照度800~1200 W/m2 (280~3000 nm)
紫外部~赤外部まで照度調整が可能
フィルタボロシリケイト (屋外想定)
ボロシリケイト+インドア (屋内想定)
温度-20 ℃~120 ℃±1 ℃ (照射時)
-40 ℃~100 ℃±1 ℃ (暗黒時)
湿度20 %~80 %±5 %RH (照射時)
30 %~95 %±5 %RH (暗黒時)

試料取り付け例

その他、製品形状や大型の試験片も対応できます。ご相談ください。

国内で初めて導入した全昼光型メタルハライドランプウェザーメータです。

主な対応規格

  • ISO 9022-9
  • ISO 12097-2
  • DIN 75 220
  • IEC 68-2-5
  • MIL STD 810G
  • BMW PrV306
  • LV124 K-17
担当部門:高分子技術部門

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