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発がん性予測手法開発への取組

3)予測法検証

  開発した予測法の予測性能は、以下に示す方法で検証しました。更に開発した予測法が本開発で使用した試験条件以外の条件へ適用範囲の検討についても行いました。

■予測性能の検証

ブラインド試験

 予測式を作成する際には文献で報告されている発がん用量を基に試験用量を設定しましたが、発がん性未知の化合物の発がん用量は不明ですので適用できませ ん。開発した発がん性予測法を発がん性未知化合物に適用するためには、発がん性未知化合物に対する適切な試験用量の設定のプロトコールが必要となります。 そこで、本開発では、予測式作成に用いた85物質から無作為に選定した18物質の物質名等の情報を秘匿した状態で、LD50値から設定した用量で動物実験 及び遺伝子発現量測定を行い、得られた発現データを発がん性予測システムに適用することで用量毎の発がん性予測性能を調査しました。
その結果、開発した発がん性予測法は、所定の用量以上で発がん性予測が既知見と一致する傾向があることが判り、発がん性が未知の物質に対する試験用量の設定が可能であることを確認しました。

外部バリデーション試験

 予測式作成に用いていない物質を予測システムに適用することで、発がん性が未知の化合物への適用性を検証しました。
その結果、肝臓を標的臓器とする発がん物質に対して高い予測性能があることが確認されました。

■予測法適用範囲の確認

 構築した予測法は異なる系統や実験条件に対して、どの程度汎用性があるか、その適用範囲を確認するために次のような実験を行いました。

F344ラットとSDラット間の発現変動パターン比較

 F344に用いた試験プロトコールと同じ方法でSDラットの肝臓の発現データ を取得しました。そのSDラットに投与した物質もF344に投じた物と同じ物を4物質選定し、得られたそれぞれの肝臓の発現データを予測システムに適用し た結果、F344で得られた予測結果と同等の結果が得られました。

異なる実験条件間の比較

 Wistarラットを用いた発がん性が既知である10 物質の混餌投与試験を行い、Wistarラットの肝臓から取得した遺伝子発現データを発がん性予測システムに適用した結果、一部の結果についてはF344 に比べて予測率が落ちることが確認されました。投与量の設定等を今後検討する必要があると考えられます。

異なるアレイプラットフォーム間の比較

 ToxArray3に搭載している約6700プローブをAgilentの基板 上に配したカスタムアレイ(二色法)を新たに作成し、得られた発現比(投与群/対照群)の比較を行いました。その結果、変動した遺伝子を中心に解析した結 果、両フォーマット間で0.7以上の相関性が見られました(下図は結果の一例)。また、発がん性の予測結果についてはラット肝発がん物質についてはほぼ結 果が一致しておりましたが、その他の発がん物質については結果が異なっている物が見られました。現在、GeneChip等の発現データを用いて、予測式の 適用範囲の確認を進めております。

  • ToxArray3