さまざまな環境でのプラスチックの生分解性評価
生分解とは、微生物の働きによって有機物が段階的に分解され、最終的に CO2・H2O(嫌気的環境では CH4)等へ変わる生物学的プロセスです。
生分解性試験は堆肥(コンポスト)、土壌、水中などの条件下で、材料が微生物によりどの程度分解されるかを評価します。本機構では、国際規格(ISO、ASTMなど)またはJIS規格に基づく試験方法に対応しており、プラスチック、紙、繊維、油脂、化粧品原料など幅広い材料の生分解性評価が可能です。
JBPAの認定試験
本機構は日本バイオプラスチック協会(JBPA)の認定試験機関であり、生分解性プラ・海洋生分解性プラ識別表示制度のポジティブリスト記載申請に必要な規格試験に対応しています。

本機構で実施可能な生分解度試験と対応する認証マーク
| 実施可能な生分解度試験 | 試験環境 | JBPA認証マーク | |
|---|---|---|---|
| 生分解性プラ | 海洋生分解性プラ | ||
| JIS K 6953-1(ISO 14855-1) (CO2発生量測定によるコンポスト中での生分解度試験) | 好気的 | 〇 | – |
| JIS K 6955(ISO 17556) (CO2発生量測定による土壌中での生分解度試験) | 好気的 | 〇 | – |
| ISO 23977-1, 19679, 22404, ASTM D 6691 (CO2発生量測定による海洋生分解度試験) | 好気的 | – | 〇 |
| OECD TG301C(MITI(I)試験) (易分解性試験) | 好気的 | 〇 | – |
| JIS K 6950(ISO 14851) (活性汚泥によるBOD測定) | 好気的 | 〇 | – |
| JIS K 6960, 6961 (バイオガス発生量測定による消化汚泥中での生分解度試験) | 嫌気的 | – | – |
各認証マークの申請に必要となる「特定元素量の測定」および「経口急性毒性試験(または環境安全性試験)」についても、本機構で対応可能です。
ISO/IEC 17025認定
本機構は、JIS K 6953-1(コンポスト中での生分解性試験)について、ISO/IEC 17025に適合するJNLA試験事業者に認定されています。さらに、ISO 14855-1(コンポスト中での生分解性試験)およびASTM D6691(海洋生分解性試験)について、ISO/IEC 17025に適合する国内初のASNITE認定試験事業者であり、信頼性の高いデータを提供します。
* 独立行政法人 製品評価技術基盤機構:
「プラスチック生分解性試験のJNLA試験事業者を国内初認定」
「【ニュースリリース】プラスチックの海洋生分解性評価において国際水準の試験を行う国内事業者をNITEが初認定~海洋プラスチックごみ対策として、海洋生分解性試験の信頼性確保に貢献~ | 適合性認定 | 製品評価技術基盤機構」

| 適用規格 | 認定制度 | 認定番号 | 初回登録日 |
|---|---|---|---|
| JIS K 6953-1(コンポスト中での生分解性試験) | JNLA (産業標準化法に基づく試験事業者登録制度) | Z70105JP | 2023/9/4 |
| ISO 14855-1(コンポスト中での生分解性試験) ASTM D6691(海洋生分解性試験) | ASNITE (製品評価技術基盤機構認定制度) | ASNITE 0146T | 2025/10/29 |
対応試験規格
材料の生分解性は植種源の種類および試験環境によって異なるため、目的に応じた試験条件の選定が重要です。本機構では活性汚泥、コンポスト、土壌、消化汚泥に加え、近年社会的な関心が高まっている海水および海洋堆積物を植種源として、国際規格およびJIS規格に基づいた試験材料の生分解度評価を実施することができます。
また、研究開発段階での材料比較試験や試験条件の最適化などにも、目的に応じて柔軟にご対応します。試験設計のご相談からデータ解析まで、一貫したサポートが可能です。
活性汚泥中(水系)・コンポスト中・土壌中における生分解度試験(好気的環境下)
| 試験規格 | JIS K 6950 ISO 14851 | JIS K 6953-1 ISO 14855-1 | JIS K 6955 ISO 17556 |
|---|---|---|---|
| 規格名称 | プラスチック-水系培養液中の好気的究極生分解度の求め方-閉鎖呼吸計を用いる酸素消費量の測定による方法 | プラスチック-制御されたコンポスト条件下の好気的究極生分解度の求め方-発生二酸化炭素量の測定による方法-第1部:一般的方法 | プラスチック-呼吸計を用いた酸素消費量または発生した二酸化炭素量の測定による土壌中での好気的究極生分解度の求め方 |
| 概要 | 水系での好気的生分解度試験 | 制御されたコンポスト中での好気的生分解度試験 | 土壌中での好気的生分解度試験 |
| 植種源 | 活性汚泥 | コンポスト | 土壌 |
| 試験温度 | 20~25℃ | 58℃ | 20~28℃ |
| 評価試料形態 | 微粉末等、フィルム等*1 | ||
海洋生分解度試験(好気的環境下)
| 試験規格 | ASTM D6691 | ISO 23977-1 ISO 23977-2 | ISO 19679 | ISO 22404 |
|---|---|---|---|---|
| 規格名称 | 定義された微生物コンソーシアムまたは天然海水接種物による海洋環境におけるプラスチック材料の好気的生分解の決定のための標準試験方法 | プラスチック-海水にさらされたプラスチック材料の好気性生物分解の測定 - 第1部:発生した二酸化炭素の分析による方法 - 第2部:密閉呼吸計で酸素要求量を測定する方法 | プラスチック-海水/堆積物界面の非浮遊プラスチック材料の好気的生分解度の求め方 - 発生二酸化炭素の分析による方法 | プラスチック-海洋堆積物にばく露された非浮遊材料の好気的生分解度の求め方 - 発生二酸化炭素の分析による方法 |
| 概要 | 海水中での好気的生分解度試験 | 海水中での好気的生分解度試験 | 海水/堆積物界面での 好気的生分解度試験 | 海洋堆積物での好気的生分解度試験 |
| 植種源 | 海水 | 海水 | 海水および海洋堆積物 | 海洋堆積物 |
| 試験温度 | 30℃ | 15~25℃ | 15~25℃ | 15~25℃ |
| 評価試料形態 | 微粉末 | 微粉末*1またはフィルム | ||
消化汚泥中における生分解度試験(嫌気的環境下)
| 試験規格 | JIS K 6960 ISO 15985 | JIS K 6961 ISO 13975 |
|---|---|---|
| 規格名称 | プラスチック-高固形物濃度嫌気的消化条件での嫌気的究極生分解度の求め方-発生バイオガスの分析による方法 | プラスチック-制御されたスラリー系における嫌気的究極生分解度の求め方-発生バイオガス量の測定による方法 |
| 概要 | 高固形物濃度消化汚泥中での嫌気的生分解度試験 | 消化汚泥(スラリー)中での嫌気的生分解度試験 |
| 植種源 | 消化汚泥(高固形物濃度) | 消化汚泥(スラリー) |
| 試験温度 | 52℃ | 35℃もしくは55℃ |
| 評価試料形態 | 微粉末等*1 | |
*1 本機構で試料の粉砕処理を行い、微粉末化することも可能です。
評価事例
生分解度試験
プラスチックの生分解度は、試料と微生物の供給源(植種源)を試験容器内で混合して培養し、好気的環境下では酸素消費量または二酸化炭素発生量、嫌気的環境下ではバイオガス発生量を測定することにより評価します。
好気的コンポスト条件下(JIS K 6953-1)におけるセルロースの生分解度試験

海水/堆積物界面条件下(ISO 19679)におけるポリヒドロキシ酪酸(PHB)の海洋生分解度試験


崩壊試験
試料を植種源(土壌、コンポスト、海水等)に埋設して一定期間培養し、埋設前後の試料の外観観察、質量変化測定等を行う試験です。試料の形状等が変化する様子を経時的に観察することができます。
試料や試験目的に合わせて最適な試験条件を提案しますので、まずはご相談ください。
| 概要 | 好気的環境下での崩壊試験 |
|---|---|
| 植種源 | 土壌、コンポスト、海水および海洋堆積物 |
| 評価試料形態 | フィルム、布 等 |
| 評価項目 | 外観観察、質量変化測定、SEMによる表面観察 等 |
ポリヒドロキシ酪酸(PHB)フィルムの土壌中での崩壊試験


研究業績
論文発表等
| 発表者名 | タイトル | 雑誌名 |
|---|---|---|
| H. Taguchi et al. | Development and multi-site validation of a rapid biodegradation test method for seafloor conditions using extracted seawater with microbes from sediments | Science of The Total Environment, 1002, 180597 (2025) |
| 尾坂ら | 実海域におけるプラスチックの海洋生分解性評価 | プラスチック成形加工学会誌, 第37巻第4号 (2025) |
| 菊地 | 海洋生分解性評価法 | プラスチック成形加工学会誌, 第35巻第3号 (2023) |
| 菊地 | 生分解性プラスチックに関する認証制度 | 繊維製品消費科学会誌,(2022) |
| 菊地 | プラスチックの生分解とマイクロプラスチック | 標準物質協議会会報,90号 (2021) |
| 田口ら | 微生物の高活性化による海洋生分解性評価の加速化 ※マテリアルライフ学会論文賞受賞 | マテリアルライフ学会誌,33(3), 57-64 (2021) |
| 田口ら | 海底域を含む暴露環境の違いによるプラスチックの生分解性評価 | マテリアルライフ学会誌,32(3), 58~68 (2020) |
書籍等
| 著者名 | タイトル | 出版社 | 発刊日 |
|---|---|---|---|
| 菊地 (監修:岩田忠久) | 海洋汚染問題を解決する生分解性プラスチック開発 ~分解性評価から新素材まで~ | 株式会社エヌ・ティー・エス | 2023年2月 |
学会発表等
| 発表者名 | タイトル | 発表先 | 発表年月 |
|---|---|---|---|
| 菊地ら | Evaluation of biodegradability in marine | The 13th SPSJ International Polymer Conference | 2023年7月 |
| 田口ら | Factors affecting biodegradation rate in accelerated evaluation of marine biodegradation of plastics | 第72回高分子学会年次大会 | 2023年5月 |
| 尾坂ら | 高分子材料の加速的な海洋生分解性試験法の開発 | 第27回高分子分析討論会 | 2022年10月 |
| 菊地ら | プラスチックの海洋生分解性評価 | 第71回高分子討論会 | 2022年7月 |
| 尾坂ら | 海洋生分解性の加速試験法の開発 | 第71回高分子学会年次大会 | 2022年5月 |
| 田口ら | 海洋環境と実験室環境におけるプラスチックの生分解性評価 ※広報委員会パブリシティ賞 | 第70回高分子学会年次大会 | 2021年5月 |
| 田口ら | 海洋環境での高分子材料の生分解性の評価 | 第69回高分子学会年次大会 | 2020年5月 |
| 田口ら | 海洋水中での高分子材料の生分解度の評価 | 日本ゴム協会第30回エラストマー討論会 | 2019年12月 |
その他の関連情報およびリンク
- プラスチック等の生分解性評価試験
- 微生物の高活性化による海洋生分解性の加速評価法の開発(第27回化学物質評価研究機構研究発表会)
- プラスチックの海洋生分解性評価(第25回化学物質評価研究機構研究発表会)
- ムーンショット型研究開発プロジェクト「非可食性バイオマスを原料とした海洋分解可能なマルチロック型バイオポリマーの研究開発」